リーダー同士も「寝食を共にする」

羽鳥兼市さんが代表取締役会長を務める中古車販売の株式会社ガリバーインターナショナル(本社 東京都)は、設立からたった8年10ヵ月で東証一部上場を果たすという急成長を遂げた企業ですが、ここでも「寝袋合宿」というものをやっていた時期があったそうです。

社員数が1000人を超えたあたりから、社長の声が現場に届かなくなり、羽鳥さんは「少なくとも役員やマネジャークラスには、会社として進もうとしている方向を伝えねば……」と感じたそうです。そこで、寝袋を用意して30~40人ずつでオフィスに泊まり込み、ガリバーのこれからについて話し合う機会を設けました。

そのほかにも、月1程度のサイクルで「管理職合宿」をしている会社もあります。役員会などで社長の話を聞く機会が比較的多い役員たちとは違って、中間管理職というのはビジョン伝達の障害となりがちだからです。

中間管理職にあるリーダーたちは、社長と共にする時間がさほど多くないうえ、目標などを受け止める立場ですから、どうしてもビジョンの共有よりも、ノルマや数字の下達に重きを置きがちになってしまう。そこで、あえて「社長と管理職の合宿」をするようにしている会社があるのです。

東海・関西エリアを中心にリサイクルショップを展開する株式会社買取王国(本社 名古屋市)の代表取締役社長・長谷川和夫さんにも以前「社長トーク」に出演いただきましたが、同社でも、近くのビジネスホテルを借りて、社長と支店長・管理職が語り合う研修を月に1回開催しているそうです。

また、通信系の部品メーカーである本多通信工業株式会社(本社 東京都)では、会社から徒歩圏内にある社長の自宅を、管理職などの研修・懇親の場として開放しています。研修後の懇談会では、参加者が当番制で食事の用意をし、社長も含めた全員で食事をしながら、会社の課題やさまざまな考えについて、夜遅くまで語り合うそうです。

同じ釜の飯を喰う」―古い言葉ではありますが、その価値を見直し、実践している組織が増えています。

(第16回へつづく・3月2日公開予定)