首都圏に続き、関西でもマンション市況が回復か──。

 一部の業界関係者のあいだで、こんな会話が飛び交っている。

 というのも、4月以降、関西の分譲マンション販売で、募集期間内で全戸に申し込みが入る即日完売が相次いでいるからだ。

 たとえば、住友不動産などが大阪府八尾市に建設中の「メガシティタワーズ」(総戸数1499戸)は、4月上旬の第1期1次発売の180戸が即日完売した。5月には三井不動産レジデンシャルの「パークシティ南千里丘」(総戸数586戸)の第1期発売で230戸が、京都府宇治市では睦備建設の「パデシオン六地蔵」(総戸数394戸)の第1期発売で308戸が即日完売。野村不動産のように「プラウドシティ茨木」(総戸数279戸)の第1期発売110戸をはじめ、関西で5つのマンションを即日完売した会社もある。

 実際、不動産経済研究所によると、近畿圏(2府4県)の5月のマンション販売戸数は24.9%増と4ヵ月ぶりに前年同月を上回った。売れた戸数の割合を示す契約率も76%と、好不調の基準となる70%を2ヵ月連続で超えた。

 だが、関西のマンション市況について「回復との判断にはまだ早い」との見方も多い。「5月は大型物件の販売が集中しており、6月以降は減少に転じる懸念もある」(不動産経済研究所の福田秋生企画調査部長)からだ。売れている地域も大阪府北部などで、「駅近」などの優良物件にとどまっている。

「首都圏は回復基調だが、関西の市況は首都圏の半年遅れで推移する」(住宅評論家の櫻井幸雄氏)といわれており、本格的な回復は早くとも秋以降と見られている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本猛嗣)

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