「マギーズ」が日本にも登場

 知名度が高まり国際的になった「マギーズ」が、この夏に東京に登場することになった。8年前にマギーズの存在を知り、エジンバラを訪問した看護師の秋山正子さんが「日本でも同じような居場所が欲しい」と運動を始めた。

 がんを患った姉の闘病体験から訪問看護の道に入った秋山さん。病院よりも生活の場で過ごすのがいいと思うようになったからだ。2001年に東京・四谷で「白十字訪問看護ステーション」を開き、主にがん患者の在宅療養を支えてきた。

 そして、がん患者の多くが入院中心から外来に変わっていく中で、医療側とのコミュニケーションが取りづらくなり、不安な気持ちになっていると気づいた。

「人生の残り時間が少なくなってから訪問看護に出会う患者さんが多いのです。もっとその前から、日々の生活の中でのちょっとした困りごとや病気についての悩みをざっくばらんに話すことができる場所があればいいのに」と、思うようになった。

 そんな思いを抱いている時に、マギーズ・エジンバラの施設長の話を聞く機会があり「これこそ、私の望んでいたこと」とすぐに感じたという。

 秋山さんが、東京・新宿の都営住宅・戸山ハイツの一階に2011年7月に開いた「暮らしの保健室」はマギーズ精神を導入したものだ。「マギーズジャパン準備室」である。同団地の高齢化率は52%、独居率は47%に達する。「誰でも予約なしに無料で受け入れる。まず話を聞く場」として高齢者の良き相談所になっている。

「病院で受けた検査結果がよく分からない」「入院しないで自宅で療養したいがどうしたらいいのか」など様々の相談に応じる。ただ、情報を提供するだけでなく「できるだけご本人と一緒に考え、自分で対応法を導き出せるようにアドバイスしています。その人の潜在的な力を引き出すことが大切だと思う」と秋山さん。「この薬がいい、とは言わない。自分で答えを出せるように背中を押すのが私たちの役目です」。

 英国のマギーズと違うのはベッドがあること。「小学校の保健室をイメージしたので、ベッドを置くようにした」と秋山さん。運営費を国や東京都の助成事業に頼っていることも英国とは異なる。来訪者は月500人にも上る。3割はがん患者だが、残りは非がんの高齢者。

 秋山さんはその後、乳がん体験者で日本テレビ勤務の鈴木美穂さんと出会い、2人が共同代表となり「マギーズ東京・プロジェクト」を創設。2015年5月にはNPO法人「Maggies tokyo」として法人化。

 資金提供を呼びかけてきた結果、約2300人もの共鳴者から約4000万円の寄付が集まり、東京都江東区の豊洲で建設にかかった。寄付金のうち約2200万円は、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」で集まった。

 これまでのマギーズと同じように、大きな窓をやオープンキッチンを設けるという。