ミャンマーに進出すれば、未開の大市場や、優秀で安価な労働資源が待っているかのような論調が、マスコミをにぎわしている。その一方で、ミャンマー進出を決定したとの報道があった日系企業で、いまだに進出に至っていない企業も多い。今回はミャンマー進出におけるリスクについて、述べていきたい。
ミャンマー進出における難しさとは何か?
前回の連載では、ミャンマーが注目される理由の7番目に、「投資環境の整備が進み始めたこと」を挙げた。裏を返せば、それだけ進出におけるハードルが今まで高かったことを意味する。実際、ミャンマー進出はそんなに甘くはない。進出計画立案においては、現地の魅力度以上に、現地のリスクを知らなければならない。では、何が進出における難しさなのだろうか。
図表1-16は、ミャンマーにおいてのビジネスリスクに対するアンケート調査だ。最も多かったビジネス上のリスクは、「インフラが未整備」である点で、なんと回答者の53.9%がそう指摘している。ちなみに、この調査において次にこの点を指摘している国がカンボジアやインドで、その割合がそれぞれ44.9%、44.8%であることから比較すると、いかに深刻にこの問題をとらえているかが見えてくる。
次に多い点が、「法制度が未整備、運用に問題あり」との点で、32.6%が指摘している。続いて、「関連産業が集積・発展していない」が23.3%、「政情リスクや社会情勢・治安に問題あり」が21.8%で続いている。
それでは、リスクについて、それぞれ具体的に説明しよう。