巡航速度は年1%ptの利上げ
インフレ動向次第ではペース引き上げ

 後に詳しく述べるようにFOMC参加者のコアインフレ予想は過度に慎重であり、インフレ動向次第では2016年末の中央値が1.125%へ早晩シフトする可能性が相当に存在する。また2016年に関して示唆された緩やかな利上げペースについては、年初以降の金融環境の引き締まりで実質的に利上げ効果がもたらされた点に対する考慮も影響しているだろう。逆に、金融環境の引き締まりが緩和されれば、それを補うために利上げペースの加速が必要になり得るとも言える。

 2017年のFF金利予想は、中央値が1.875%と2016年の0.875%から1%pt高まる。2017年に年4回程度、1%ptの利上げは、予想分布を見ても比較的多くが想定している模様である。つまり、多くのFOMC参加者にとって年1%ptの利上げが巡航速度に該当すると考えられる。

 換言すれば、現時点で、その巡航速度との対比で相当に緩やかな利上げペースを予想の中央値は示していると判断され、故に2016年は利上げペースの上方修正がありうるとも解釈できる。なお、長期均衡の政策金利水準に関しては、12月時点では3.25%と3.50%が同数で並んでいたが、3月時点で3.25%が中央値かつ最頻値へ変わった。想定の範囲内の変更だろう。

成長率見通しの下方修正は想定通り
2016年の失業率据え置きはやや意外

 FOMC参加者のFF金利想定の背後にある経済見通し(中央値)を見ると、まず実質GDP成長率(最終四半期前年比)は2016年が+2.4%から+2.2%へ下方修正された(図表2)。2017年は+2.2%から+2.1%への下方修正、2018年及び長期均衡水準は2.0%に据え置きである。

 成長率見通しの下方修正は、筆者の想定通りであり、サプライズはない。イエレンFRB議長の記者会見などを踏まえると、世界経済の成長想定の低下や金融環境の引き締まりなどが影響した模様である。加えて、2015年10~12月期の低成長もこの下方修正に作用したと考えられる。

◆図表2:2016年3月会合時点のFOMC参加者の見通し(SEP)

FOMC“慎重過ぎる姿勢”は追加利上げへの布石注:成長率及びインフレ率は最終四半期前年比、失業率は最終四半期
出所:FRB、SMBC日興証券