近年、アジアの国・エリアから、日本への不動産投資が増加の一途をたどっている。中でも中国大陸からの投資が目立つ。オフィスビル、ホテル以外にも、我々の生活に身近な住宅への投資もある。
物件によっては、外国人が占める割合が高いところもある。豊洲の某タワーマンションでは、区分所有者のうち2割が中国人だとも言われている。
都内の不動産業者は「都心の不動産に対する中国人の関心が非常に高まっている」と明かす。
こうした背景には、中国からの脱出を試みるヒトやカネの動きがある。
中国では、不動産価格上昇の限界がいよいよ見え始めた。中国経済も黄金期が過ぎ去り、不動産の右肩上がりもピークアウトする今、富裕層の資金は世界の不動産市場に向かい移動を始めた。
移民ブームも盛り上がる。中国では、移民国家であるアメリカ、カナダやオーストラリアに移住を希望する人々が後を絶たない。まずは子どもを留学させ、その後「子どものため」と称して不動産を購入、そして自らそこに移り住むというステップは、国外脱出のお決まりのパターンである。
中国からの不透明な資金移転に
警戒感を強める国際社会
移民国家のアメリカ、カナダやオーストラリアなどには、ここ数年、中国からの移民とともに莫大な資金が流れ込み、現地で深刻な問題を生んでいる。
ゴルフ場、ホテル、オフィスビルなどに中国マネーが投下されるカナダでは、これを「重大なリスク」と受け止めている。金融取引を分析する組織The Financial Transactions and Reports Analysis Centre of Canada(FINTRAC)は「海外の資本と個人によるカナダ不動産の購入は重大なリスクである」と断じる。