そして、ユーミンの歌が始まります。それは、一遍の映画の始まりのようです。旋律に乗って綴られる言葉は、明快な意味と触れることが出来るほどのリアリティを持っています。

 “Friend in need is Friend indeed(まさかの友が真の友)”と言います。恋を失い、傷ついて心から血が流れそうな時に、寄り添ってくれる友。それは大変ありがたいものです。

 運命的な出会いから恋に落ち、甘美な蜜を味わい楽園を体験した後に訪れる別離。しかし、その悲しい別れが友情の真の意味を教えてくれるのかもしれません。

 ユーミンが歌うこの物語は、ユーミンが紡ぐ旋律に乗る時、最高の推進力を得ます。その秘密は、長調と短調の境界線を行く独特の調べにあります。それは、ユーミンが作曲すれば、長調なのに微量のセンチメンタルが潜み、短調なのに悲しみの淵に希望の芽が潜むのです。切なく懐かしく元気が出る響きです。 

 “ガールフレンズ”にはもう一つだけ特筆すべき特徴があります。間奏に登場するサキソフォンです。知る人ぞ知るサキソフォン奏者ジェイク・コンセプションの多重録音による即興が音楽的な深みを与えています。

 ストーンズ、ブラームス、キース、そしてユーミン。出会いと別れと友情が凝縮した音楽体験をどうぞ。 

(音楽愛好家・小栗勘太郎)