「食べ続けて生命を維持している」ことは世界万国共通。食の動きをみると消費者の生活そのものが浮かび上がるため、“食”は生きたマーケティングだといえるだろう。

 早いもので2010年も上半期が過ぎたが、いくつかの大ヒット商品が生まれた。これらのヒット商品に消費者は何を感じて、購入に至っているのか。2010年上半期の内食(一部中食)トレンドのヒット要因を消費者の“食べ方意識”の観点から振り返ってみる。

日本人の食生活は多様化
外食・中食・内食が混在しはじめた!?

 日本政策金融公庫農林水産事業が6月に行った消費者動向調査では、消費者の節約傾向が一段落し、中食を求める簡便志向は上昇したままだが、食の手作り傾向も減少と発表した。

しかし一気に外食へは動いているわけではなく、社団法人日本フードサービス協会によると、2010年5月の外食売上高は4ヵ月連続の前年割れ。牛丼のすき家を展開している(株)ゼンショーや、日本マクドナルドなどのファーストフードや新業態が元気なものの、外食産業の売上高低迷は続いている。

 食べないと生きられないのだから、どこかで何かが消費はされていることは間違いない。そうなると、外食に代わる一食は、安価な中食や内食(家庭内食)にシフトするはずだが、現実の消費の仕方を考えると、徐々に外食、中食、内食といった分類は明確ではなくなりつつある。というのも、外食の競合がネットスーパーになったり、寿司屋の相手が家庭用調理器具になりえるからだ。それだけ日本人の食べ方も混在、多様化しているといえるだろう。

 そのため完全にひと括りには測れないが、目立って売れた食品にはいくつかの共通項がみられる。また、「内食で流行った商品や食べ方を外食で取り入れる」逆輸入のような面白い傾向も出ている。

安いだけではもはや売れない
食に求められる「手軽な楽しみ」

 例えば、今なお衰えを知らない人気商材の代表格である「食べるラー油」だ。内食減少傾向とはいえ売れ続けている商品で、各メーカー品薄状態が続いている。