自分の子育て法は、これでいいのか?
子育て、孫育てをされているなかで、「果たして自分の教育方針は、正しいのだろうか?」と自問されたことはあるだろうか? 「正しい教育方針」の定義はそれぞれであるが、その重要な要素として、「育てられた本人が、将来感謝するような教育」とは何かという視点は、大きなヒントを与えてくれるだろう。
子育ての方法は往々にして、間違っていても気づけないものである。ほとんどの親が、自分自身がどう育てられたか、そのまた親の「我流」に大きな影響を受けるものだからだ。
「ほかの優れた親は、いったいどのようにして子どもを育てているのか」
そんな疑問に答えるのが、『一流の育て方――ビジネスでも勉強でもずば抜けて活躍できる子どもを育てる』に記された200人を超える優秀な大学生たちの、「自分の親の育て方への評価」である。
以下で、子どもがいかに自分の意思を尊重し、決断を尊重してくれる親に感謝しているのか、『一流の育て方』からアンケート回答を一部抜粋して紹介しよう。
「子どもの意思・人格を重んじる育て方」を考えよう
(以下、アンケートより)
幼少期から高校時代まで一貫して、私の意思を尊重してくれた両親の教育方針があって初めて、今の私が存在していると思います。特に幼少期から、何でも私が好きなように決めることのできる環境を提供してくれたことによって、自らの決定に対する責任感が育まれました。(東京大学大学院工学系研究科Mさん)
私の両親は進路を含め、重要な決定事項を私にゆだねるという教育方針を取っていました。その「自分のことは自分で決める」ということが、私という人間を形成したと考えています。
例を挙げると、大学進学に関しても私がすべてを決定し、両親はその決定に賛成しただけでした。実は、私は両親に助言を求めたのですが、「自分で考えて、後悔のない選択をしろ」と言われただけでした。(東京工業大学工学部Oさん)
自由に進路を選択させてくれたことに感謝している。塾に行くか、どこの中学に入学するか、理系文系の選択、大学や学部の選択など、教育に関するありとあらゆることを、小さいうちから私の自主性に任せてくれた。親はまったく口を挟まなかった。
危ういとはわかっていても、思い切って子どもに進路選択を任せること。そして子どもに責任を取らせること。そうすることで、子どもは自分の将来について真剣に考え行動するようになるのだと思います。(東京大学大学院Oさん)
本コラムの冒頭で述べさせていただいたよう、こどもの日が制定されている重要な意味合いが、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」ことである。これは決して、ディズニーランドに連れて行ったり、ハワイに連れて行ったら解決する問題ではない。
子どもの育て方を考え直し、子どもの人格を重んじてその幸せをはからなければ、こどもの日制定の精神に反しているのである。
子どもは自分の意思を親に尊重してほしいと思っており、人格を尊重してくれた親に対し、将来大きく感謝していることを忘れないようにしたい。