世界のトップクラスのエリートは、学校を出てビジネスの世界に入っても、多忙な時間の合間をぬって、必死に勉強を続けるという。では、彼らエリートたちは、実際のところ「何」を勉強しているのだろう。その詳細をまとめた書籍『世界の最も野心的なビジネスエリートがしている一流の頭脳の磨き方』より、その一部を紹介する。
仕事も勉強もすべて「時はカネなり」を貫く
世界のトップクラスのビジネスエリートたちが「何を学んでいるのか」を語る前に、彼らが「どのように学んでいるのか」という部分について解説しておきたい。
彼らの「学び方」には、ビジネスを成功させる大きなヒントが潜んでいる。
彼らのスタイルを一言で表現するなら、「学びと実践を同時進行させる」ということに尽きるだろう。本連載の第1回でも、欧米のビジネスエリートは学び続けるという話をしたが、彼らにとって「仕事をしながら学び続ける」というのは至極当たり前のスタンスだ。
彼らは「時はカネなり」の意識が異常に強い。
新入社員ならともかく、上に行くにつれて競争は激しくなり、自分の停滞に焦る。一方で使える時間は少ないので、学びと実践はつねに同時進行になるのだ。
そんな彼らの学び方については、「MBAとEMBA(エグゼクティブMBA)の違い」という観点から説明するとわかりやすい。
そもそもフルタイムのMBAを取得するには最低でも1年、多くの場合2年程度、仕事を休まなければならない。仕事をいったんストップして、勉強するというかたちだ。
自分のキャリアを一から形成していく20代の若者ならそれもいいかもしれない。
しかし、すでに世界の第一線で活躍しているビジネスエリートにとって、2年のブランクを空けることなどまず考えられない。そのあいだに時代から大きく取り残されてしまうし、キャッチアップするには何年もかかってしまう。
その点、EMBAは各校によって期間は違うが、基本的にはパートタイムなので、通常の仕事をしながら集中的に授業を受けられる。われわれの通ったUCLA―NUSのEMBAは約1年半のあいだに、2週間のプログラムを6回受けるというスケジュールだ。
授業の行われる2週間は、これ以上ないほど凝縮された学びの時間が続き、宿題、課題の連続で寝られない日も多いのだが、その2週間を終えると、それぞれが学びを携え、ビジネスの現場へと戻っていく。それから3ヵ月後に再び戻ってきて授業を受ける。
授業前日まで仕事をしてから飛行機で飛んできて2週間学び、帰ったら翌日からすぐ仕事という者も多い。まさに学びと実践を同時進行していくスタイルなのだ。