学びながら「クラス」でビジネスを進める
余談ながら、EMBAの世界ランキングというのは「EMBAへ来る前と、来た後で、どのくらい収入が変わったか」で順位づけされている。
生々しい話だが、これほどストレートな指標はない。
だからこそ、EMBAサイドも「ここでの学びをどんどん現場で実践し、大きな成功を収めてほしい」と強く思っている。
当然、そのためのカリキュラムが用意されているし、生徒同士がネットワークを広げ、新たなビジネスチャンスが生まれるように、さまざまな工夫、考慮がされている。実際にクラス内でビジネスがまとまることもある。
卒業生同士が交流できる場も積極的に用意され、そういった場でも「こんなビジネスに興味のある人はこちらへ」「こんな課題を抱えている人は集まってください」という感じで問題解決のサポートをしたり、ビジネスパートナーのマッチングをしてくれることもある。
さらにEMBAの特徴的なところは、生徒自身が第一線で活躍しており、幅広いネットワークを持っているので、生徒が紹介する人など多彩なゲストスピーカーが登壇するということだ。スタンフォードのスローンプログラム(他校で言うEMBA的な位置づけにあたる)で学んだジミーの話では、リーマンショックの真っただ中の時期に、シティバンクのCEOがゲストスピーカーとして生徒に向けて熱弁をふるったこともあったという。
私(山崎)のクラスにはCNNのシンガポール支局で働いている女性がいて、彼女の紹介で何人かの大物ゲストスピーカーの話を聞くことができた。もともと彼女はニュース番組に登場するゲストをブッキングする仕事をしていたので、普段の仕事がそのままEMBAに持ち込まれた恰好だ。
EMBAでの学びを自分のビジネスに転化するのはもちろんのこと、自分のビジネスによって持ち得たリソースを積極的に学びの場に持ち込み、お互いのメリットにつなげていくというのも、スピードを重視する第一線のビジネスエリートらしい「学びとビジネスの融合」といえるだろう。
(本原稿は、『世界の最も野心的なビジネスエリートがしている一流の頭脳の磨き方』より抜粋して掲載しています)