無担保ローンを3ヵ月以上延滞している「延滞者」が急速に増加して461万人にも達する──。
消費者金融業界では今、そんな話題で持ちきりだ。これは、主に無担保ローンの契約内容や返済状況といった信用情報を収集・提供する「日本信用情報機構(JICC)」が毎月発表している延滞者数だ。
それによると、図のように、この1年程度で延滞者数は倍以上にふくらんでいる。これは現在借り入れのある契約者の約30%が延滞している計算になるのだから驚きだ。だが、消費者金融各社の延滞状況とは大きく乖離しているのは明らか。なぜこんな不可解な数字になったのだろうか。
JICCによると、3月から6月頃にかけての急激な増加は、主に「未同意債権」といわれる債権の増加が要因。従来、借り手が希望しなければ、債権や延滞の情報は信用情報機関に登録しないことも可能だったが、改正貸金業法の完全施行に伴って登録が義務化。そのため過去の登録されていなかった債権が一気に登録され、加えて2001年8月に信用情報機関のシーシービーと合併したことで、情報量が急増してしまったというわけだ。
そもそもこの数字には、消費者金融各社が過去に経理上は償却処理しているものの、JICCに対して登録の抹消を行っていないというものも含まれているようで、「問い合わせも多く、中身を検証している段階」(JICC)。つまり、いいかげんな数字なのだ。
景気の長期低迷もさることながら、今回の改正貸金業法の完全施行は総量規制、上限金利の引き下げなどを伴っており、延滞者が増えているのは確か。実際、消費者金融大手各社の延滞比率(金額ベース)は現在10~30%程度で、その比率は上昇傾向にある。
ただ、それは冒頭で紹介した461万人ではない。現状を把握するためにも、正確な統計の整備が必要だろう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)