夏の甲子園大会は沖縄の興南が春・夏連覇を成し遂げて幕を閉じた。

 東海大相模との決勝戦は13―1の大差試合になったが、興南の選手たちの「真っすぐに野球に打ち込んでいる」といった雰囲気、それを必死で応援する沖縄の人たちの姿があったせいか、心惹きつけられるものがあった。

 ともあれ興南が優勝した結果こそ順当だったが、それ以外は「いかにも高校野球」といった意外性に富んだ大会だった。

 たとえば昨年の優勝校で、連覇の可能性もあると言われていた中京大中京(愛知)が、2回戦で早実(西東京)に、なんと6-21という大差で敗れた。この試合で強いという印象を与えた早実は3回戦で関東一(東東京)にあっさり負け、その関東一は準々決勝で成田(千葉)に敗退。

 勝ち残った成田は準決勝で東海大相模(神奈川)に負け、その東海大相模は決勝で見せ場も作れず敗れ去った。勢いに乗っている時は強さを発揮するが、投打の歯車が狂ったり、試合の流れをつかめないと、途端に動揺し信じられないモロさを見せる。そんな試合が目立った。

 また、昨年準優勝した日本文理に続いて今年も新潟代表の新潟明訓がベスト8に進出。準々決勝では強豪・報徳学園(兵庫)と1-2の好試合を見せた。レベルはそう高くないはずの福島代表・聖光学院が日本一の激戦区・大阪を勝ち抜いた履正社を破る波乱もあった。その時どきの精神状態がプレーに表れ、それが試合結果に直結する。そんな高校野球らしさを感じさせる試合が多かった。

高校野球らしい試合が多いなか
唯一、隙のなかった興南

 その中で唯一、隙を見せなかったのが春のセンバツ優勝という大きな経験をしていた興南だったという印象だ。