公私混同、オンとオフを混在させた方が生産性が高い…そんな主張が増える一方で、定年退職者たちは時間に区切りがないことの弊害を指摘する。では、上手に公私の時間を切り替えられた先人たちはどのような工夫をしていたのだろうか?シリーズ最新作『40代を後悔しない50のリスト【時間編】』から一部を抜粋して紹介する。

【後悔リスト10】オンとオフのメリハリをもう少しつければよかった

 現在の50代、60代以上の世代が40代の働き盛りだった頃、管理職の多くはオンとオフの区別など気にせず、一年中オンのような人がたくさんいました。

 今の時代でも、「24時間オン」を標榜する人はいますが、それはモーレツとは少し違って、どちらかといえば仕事が大好き、趣味は仕事、という感じの人だと思います。公私混同の発想こそ仕事でも成果を生み出すと信じて、仕事とプライベートを決して切り分けずに意図的に混在させています。

 職業によっては、混在させることで新しい人脈がつくれたり、仕事では決して得られない企画のアイデアなどをプライベートで得たりすることも多いでしょう。そもそも経営者であれば、オンとオフの切り替えなどと言っていられず、仕事と生活の地続きの状態にいる場合が多いと思います。

 しかし、定年退職した人の多くが、なぜメリハリをつければよかったと後悔しているかといえば、時間の使い方を考える上では、「切り替え」が想像以上の効果を生んでいることを意味しています。

 時間の使い方に正解はありません。何を優先するかという価値観によるので、24時間オンの人も、残業せずに自宅でのオフ時間を楽しむ人も、どちらが正しいという話ではありません。

 ただ、常にオンという発想だと、時間に区切りが生まれにくく、必然的に残業に対する意識も低くなってきます。予定通りに仕事をすることより、成果を出すことを優先するようになるので、結果的に自分のやり方に固執して改善が行われにくく、ダラダラと仕事をすることが増えていくのです。

 良いアイデアが生まれるには何かの制約が必要なように、仕事も時間的な制約があるほうが仕事のプロセス改善も進化していきます。オンとオフのメリハリをつけようとするからこそ、時間の使い方を工夫したり、業務プロセスを省力化するための試行錯誤を繰り返すのです。

 残業時間を気にするから、より効率的な仕事のやり方を模索したり、切り替えがあるから集中力がさらに研ぎすまされるというのは、心当たりがある人も少なくないはずです。

 これは後から人生を振り返ったときにおいても同じようで、時間的なメリハリがあったほうが新しいことに挑戦できたり、さまざまな経験を積めて人生をより豊かにすることができるようなのです。オンがあればこそオフが楽しめ、オフがあればこそオンが輝く、と言えるのではないでしょうか。

 ただ、メリハリをつけるといっても、簡単に切り替えられる人もいれば、休みでもついつい仕事のことばかり気にして、心からオフを楽しめないという人もいるでしょう。そこで、先人たちから教えてもらった「切り替え」のコツを紹介しましょう。