舛添氏が一番失敗したポイント
(3)相手が想像する以上に謝る
こちらが、一番舛添知事が苦手なポイントでした。メディアから出て来た不都合なことに合わせて、ちょっとずつ、ちょっとずつ薄皮をむくように舛添知事は謝りました。
(発覚したこと) (舛添氏の謝り方)
公用車で50回湯河原へ →「何の問題もない」
一泊15万円のスイートルーム使用が発覚 →「要人の急な面会に備えて」
数々の疑惑が出た → 「全てが黒ではない。誤解もある」
クレヨンしんちゃんの購入 →「不適切だが違法ではない」
都議会で「身を切れ」と言われ →「給料を減額(でもその割合は言わない)」
各党から「辞任しろ」の声が出た →「給与を全額返納する」
舛添知事にとってみたら、「こんなにやっているのに、なぜ許されないの?!」と感じていたでしょう。でも舛添知事の謝り方は、ぜんぶ想像通りだったので、聞く側としては「そりゃそうだ」くらいにしか感じられませんでした。それだけじゃなく「まだ、他にもあるだろう」とも思いました。
ではどうすればよかったのか?それは「相手が想像する以上に謝る」ことをしていればよかったのです。
5月のはじめの会見で、「違法ではなくても、不適切なものを入れてしまい、自分自身はずかしい。反省をこめて、ボーナス含め3ヵ月ぶんの給料を返納します」と言っていたら、世の中の反応は、「そこまでやるんだ!ミスはあったけど、誠実な人だ」という見方になっていたでしょう。「これ以上追求しよう」という気持ちも起こりにくいです。念願のリオオリンピックに行くこともでき、続投もできたかもしれません。
相手に許してもらいたいなら、求められているだけの薄皮で謝るのではダメなのです。「そこまで言わなくていいよ」となるほど、相手が想像している以上に謝る。それが、正しい謝り方です。
謝った種類は違いますが、ファンキー加藤さんは会見で、「記事に書いてあることは、すべて事実です」と言いました。本人としては、「一部、事実でないこともある」と言いたかったかもしれません。でも世の中が想像している以上の謝り方をしたので、一気に収束しました。「全部事実」と言われたら「これ以上、詮索することないな」という気にもなります。