生活保護と科学技術政策と「私たちの明日」
各党のスタンスを評価してみた

 どの政党に・誰に投票すべきか、なんとも悩ましい今回の参院選。私は、各党の公約や公開質問への対応をもとに、独自の判断基準により、各党の政策を評価してみた。評価にあたっては、前述した生活保護問題対策全国会議の公開質問および回答、および「サイエンス・サポート・アソシエーション」の公約チェック「サイエンス・トークス」による各政党へのアンケート調査結果を参考にした。

 社会保障の維持・充実にあたって、「裏付け」となる財源が必要なのは間違いない。

 赤字国債は、発行せずに済むなら発行しないほうがいい。実際のところ、赤字国債がどの程度の問題であり、いつまでにどの程度解消される必要があるのかについては、立場や方法によってさまざまな説が導き出されている。どの説が最も信頼に足りるのか、私には今のところ判断できない。

 いずれにしても、赤字国債に依存しないとすれば、産業による生産は必須である。産業による生産を維持するためには、科学技術政策や教育に一定の予算注入が行われ、一定のレベルが維持されることが必要だ。そのためには、低所得層・低学力層も含む日本全体の「知の生態系」を、健全に維持する必要がある。このことは、短期的な生産にはつながりにくいが、長期的に「衰退を緩やかにする」「少しずつでも向上する」という結果を必ずもたらす。「知の生態系」に対する態度を総合的に評価するならば、科学技術政策を人文社会科学も含めて見るのが最も手っ取り早い。

 しかし、いかに結構な政策を掲げていても、実現しないのであれば意味は薄い。そこで、現在の政府方針との整合性の程度も評価した。もちろん、整合性が高ければ高いほど実現されやすいであろう。整合性が低い場合、実現させるためには「候補者を参院に送り出す」以後にも不断の努力が必要になるだろう。現在の政府方針の資料として参照したのは、2016年5月18日に発表された財務省「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」、および、2016年6月2日に発行された「骨太の方針2016」の2点だ。ちなみに自民党の公約はほとんど、公明党の公約は概ね、政府方針そのものである。

 各政党の方針から、貧困解消・格差解消(生活保護・科学技術政策)・不透明な将来への耐性・政府政策との整合性 の5点を評価したのが、下記の表だ。「-」は「無回答」あるいは「記述なし」を示す。

 敢えて、総合評価は行わなかった。「格差解消なしの貧困解消を考えているか? それは実現できそうか?」「格差について、生活保護と科学技術政策で異なる意見を持っているか?」「実現可能性と考えあわせたとき、どの程度安全か? どの程度危険か?」など、読者の皆様それぞれに、ご自分の投票を考える参考としていただければ幸いである。

 次回は、参院選の結果による影響を直接に受ける生活保護の人々の声を中心に、引き続き、各党の社会保障政策を検討する予定だ。