この小咄(こばなし)、即座に笑えますか?

 三女が小学4年生のとき、学校で国語の時間に、先生がこんなお話を読んでくれたそうです。

 ちょっと昔の中国(*1)のお話。

 草原で暮らす賢者アーファンティ。

 馬羊を飼い、その肉を食べ、その油を売って生活していた。

 ある時、いつも油を買ってくれる、万屋(よろずや)の主(あるじ)が来て曰く

 「おいおい、前回お前さんから買い取った油、一斤(いっきん、約600g)に足りなかったぞ」

アーファンティ、答えて曰く、

 「おかしいなあ。天秤ばかりの重りが見あたらなかったから、前にお主(ぬし)から買った塩一斤を重りにして、それで量って渡したんじゃがのぉ」

 おしまい。

子どもの論理性と想像力をとんち小咄で鍛える~賢者アーファンティ

 先生がこのお話を読み終えたとき、即座に笑えたのはクラスに数人だけだったとか。多くの子は「えーっ、お話まだ途中ジャン」と。

 そんなものかと思い、友人たちにも子どもや知り合いに試してもらいました。それでもやはり、半分以上の子どもは「???」だったのです。

なにが、わからないか、わかりますか?

 子どもたちはいったい、なにが、わからなかったのでしょうか。なにに引っ掛かってしまったのでしょう。

 この小咄は、決してだまし合いのお話ではありません。アーファンティは中国では(トンチ和尚としての)一休さんのような存在だそう。彼は(一斤のハズの塩を誤魔化して少なめにして売りつけた)万屋の主を、うまく懲らしめようと思って、イタズラを仕掛けた訳です。

 この後、万屋が直ぐ謝ったか、すごすご帰って行ったかはわかりません。でも、きっと反省したことでしょう。

*1 実際にはウイグル族の民話。アニメ『阿凡提的故事』、人形劇『阿凡提』が中国で人気を博した。