努力には「いい努力」と「そうでない努力」がある。では、その「ちがい」とは何か?最高の成果が得られる「いい努力」をするための考え方、動き方とは?何がせっかくの努力をただの「時間のムダ」に変えてしまうのか?
世界最高のコンサルティングファームのトップコンサルタントとして得た豊富な経験から生み出した、生産性が劇的に上がる「仕事の方法」について、話題の新刊『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』から紹介する。
多くのビジネスマンが「悪い努力」をしている
努力には、「いい努力」と「そうでない努力」がある。まずはこの点を理解することから本書を始めたいと思う。
一般に、「努力することはいいことだ」と思われている。
もちろん、努力をしないよりはしたほうがいい。仕事でも学びでもトレーニングでも、一定の努力は必要不可欠だ。それでも、「努力をすればいい」と思った瞬間、大事な点を見失ってしまう。問題は、労力やかけた時間ではなく、努力の質にある。
「いい努力」か「そうでない努力」かという質の部分を意識しなければ、次のような誤解が起こる。
「遅くまで残業してギリギリまで粘って取り組まないのは、努力不足だ」
「1分、1時間でも長く時間をかければ、よりよい仕事になるはずだ。それを突き詰めるのは立派なことだ」
自分はそんなふうには考えていない、と思う方も少なくないだろう。
だが、私がコンサルタントとして見てきた多くの企業で、実際、優秀なビジネスマンがこのような発想に捕らわれて生産性の低い仕事を長時間行っている姿があった。こうした場合、発想と視点を変えるだけで、飛躍的に仕事の質が変わることも少なくなかった。
頭ではおかしいとわかっていても、現場に根づいた不合理な考え方が、意外と個々人の仕事に影響してしまっているものなのだ。
では、そもそも何が「いい努力」で、何が「そうでない努力」、すなわち「悪い努力」なのか。
それを徹底的に洗い出すこと、そしてどうすれば努力の質を上げられるか、というのが本書のテーマだ。
同じ時間と労力をかけるのであれば、すべて「いい努力」に転換したほうがいい。
だが「いい努力」は何となくできるものではない。つねに行動の質を自覚し続けないことには、「とにかく時間をかける」「がむしゃらに頑張る」というパターンに戻ってしまう。
無意識のうちに時間を費やしてしまっている「悪い努力」を排除して、時間と自らの能力を最大限に生かすための働き方をつくっていこう。