ビジネスパーソンなら、まず身につけておきたいのが、思考のスキルだと思います。そのなかでも、「戦略思考」は、本質を突いた論理的な解決策を得るうえでとても重要です。
思考法から発想術、文章術、読書術、プレゼン術、図解術、交渉術、成功哲学まで、本当に使える仕事術を1冊に凝縮した新刊『ビジネススキル大全――2時間で学ぶ「成果を生み出す」全技術』より抜粋し、紹介していきます。
会議でかっこよく発言する人になるには?
仕事ができる人は、会議などで議論の本質を突いて論理的に話すことができます。
反対に仕事ができない人は、話していても枝葉末節に脱線して要領を得ず、本質を離れた議論に終始してしまうものです。
私はサラリーマンのころ、「本質を突いた発言ができる人は、きっと生まれつき頭がいいのだろう」と勝手に考えていました。そして「自分にはとても無理だ」と諦めていました。
もちろん、生まれつき頭のいい人もいるでしょう。しかし、そうでない人も諦める必要はありません。実は、思考には方法があるからです。これを学ぶことで、少なくとも会議の場などでは、生まれつき頭のいい人と同じように考えたり、発言したり、振る舞ったりできるのです。
そのひとつが「戦略思考」です。外資系コンサルティングファームやそのOBたちが使いこなしているツールです。
戦略思考とは、「経営課題に対して、経営者視点で環境を正しくとらえ、課題の優先順位を明確にしながら戦略目標を達成に導く思考法」です。ビジネスの基本となる思考法といえます。
この戦略思考には、たくさんの本が出ています。多くが訳書、しかも外資系のコンサルティングファーム勤務のコンサルタントが書いています。そのため、アメリカ発の舶来物かと思っていました。
しかし、戦略思考をはじめて体系的にまとめ、世の中に発表したのは、日本人です。なんと1970年後半、オイルショックのころに「戦略思考」という形で登場しています。
これを紹介した本が『企業参謀』です。著者は、経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの元日本支社長で、今はビジネス・ブレークスルー大学学長でもある、大前研一さんです。彼は、日本で最初の本格的な戦略コンサルタントと呼ばれた人です。
私がまだサラリーマンだった若いころに、この『企業参謀』という本に出会い、大変な衝撃を受けました。まず、当時は思考にも方法論があるということに驚きました。目から鱗が落ちた思いをしたことを覚えています。何より、会議で本質を突いた議論ができている取引先や上司や先輩の秘密を垣間見た気がして、ほくそ笑んだ記憶があります。