元気な「フリ」が、
未来のチャンスにつながっていく
CAの仕事は、「感情労働」といわれています。「感情労働」とは、自分の感情をコントロールして、相手の感情に働きかける仕事のことです。
CAは、常に笑顔で接客をすることを求められます。
私は先輩CAから「松澤さん自身が楽しんでフライトをしてください。元気じゃないときも、元気なフリをして飛んでください」と教えられたことがあります。
なぜなら、元気には、「伝染する作用」があるからです。
飛行機が揺れて「怖い」と思っても、体調が悪くても、失恋の悲しみから立ち直っていなくても、先輩に怒られて落ち込んでいても、お客様の前では本心を隠し、笑顔で振舞う。元気な「フリ」をする。
CAが笑顔を絶やさなければ、お客様が不安になることはありません。安心して空の旅を楽しめます。
安心するのは、お客様だけではありません。フライト・クルーの中に、元気な人がひとりでもいると、フライト自体が楽しくなります。
研修講師の仕事も「感情労働」です。だから私は、「どんなことがあっても、いつも明るく元気でいたい」と思っています。
祖父の葬儀と研修日が重なってしまい、お葬式に出れなかったことがありました。
私は祖父が大好きだったので、心の中はおだやかではありませんでした。けれど、登壇した以上、私は元気なフリを続けました。
私が落ち込んでいたら、受講者も不安になって、身が入らなかったと思います。
私が研修中に、椅子に座らないのは、疲れたそぶりを見せたくないからです。
講演台に(受講者には見えないように)松田聖子さんの写真や、「私は女優」と書いた紙を置いているのも(笑)、「聖子ちゃんのような笑顔をつくろう!」「元気な松澤先生を演じきろう!」と思っているからです。
たとえ元気ではなくても、元気なフリをしてみましょう。口角を上げて笑ってみましょう。
「元気なフリ」はやがて、「本当の元気」に変わるのです。
元気な人ほどチャンスをつかむ。「元気なフリ」がチャンスにつながる。私は、強く強く、そう思います。