前回の参院選で
幸福実現党と自民党で票が割れた
さて、今回の参院選で、票の割れの好例があった。幸福実現党が自民党の票を喰い、4つの一人区で、民進党の勝利に貢献したのだ(産経新聞が7/10にいち早く報道)。結果は次の通りだ。
幸福実現党の政策は、民進党よりも、自民党のほうにずっと近い。また幸福実現党の総裁であり幸福の科学グループ創始者である大川隆法氏は、著書『安倍新総理スピリチュアル・インタビュー』のあとがきで「安倍総理よ、強くあれ。論敵との戦いの一部は引き受けるから、未来への扉を開いてほしい」とエールを送っている(注1)。幸福実現党への投票者の多くは、もし幸福実現党が候補を立てていなかったら、自民党の候補に投票したと考えるのは妥当だろう。
勝者が1人の選挙だと主要な候補は「2人」に収斂していくというのが、政治学にある「デュヴェルジェの法則」である。自公に対する民共の構図を見ると、いまの日本でその法則は概ね成り立つように思われる。だが、主要な候補が2人でも、接戦のときには「第三の候補」が結果を大きく左右する。つまりデュヴェルジェの法則が概ね成り立ったとしても、それは多数決の選挙で「多数派」が勝つということにはならない。
せめて多数決に決選投票を付けるとか、より抜本的な代替案として「1位に3点、2位に2点、3位に1点」と配点するボルダルールを使うといった工夫をせねば、投票の結果は票の割れに大きく左右される。このとき多数決は、少数意見の尊重はおろか、多数意見の尊重さえできない。