「相手が、今、呼ばれたいと思っている名前」
を呼ぶ

 私が尊敬するCA(客室乗務員)時代の先輩は、「さん」と「ちゃん」を上手に使い分けていました。

「表」では「松澤さん」と丁寧に呼んで、裏では親しみを込めて「松澤ちゃん」と呼ぶ。

 あるいは、叱るときはビジネスライクに「さん」で呼び、励ますときは「ちゃん」で呼びます。

 呼び方を工夫しながら、コミュニケーションのハードルを下げてくださっているのです。

 心の距離が近すぎると馴れ馴れしくなったり、息苦しくなります。一方、遠すぎると疎外感や不信感が芽生えてしまいます。

Yさんさんも、Iさんも、先輩CAも、「今、この人はなんと呼ばれると嬉しいか?」「なんと呼んだら親近感を覚えるか?」を察し、名前の呼び方を工夫しながら、近すぎず、遠すぎない間合いを保ってくれたのだと思います。

 間合いは、「間愛(まあい)」です。「間愛」は、適度な心の距離です。

 正しい「間愛」は、相手の心を開かせます。「呼び名を工夫する」ことは、最高のおもてなしです。

「相手が、今、呼ばれたいと思っている名前を呼ぶ」ことができたとき、近すぎず遠すぎない、心地よい「間愛」を取ることができるのです。