ANA客室乗務員12年。500万人のお客様から学んだ「気がきく人」の1秒の習慣。その業界でダントツの成果を上げている人に共通していたのは、ほんの「1秒」という時間の中で判断を下し、非常に「気がきく習慣」をいつも実行しているということです!
「三角感謝」なら、
本心からの感謝が伝わる
CA時代の後輩、A子は、「誕生日になると、一緒に住んでいるおばあちゃんが、いつもお手紙をくれる」と喜んでいました。
そのお手紙には、A子へのお祝いのメッセージとともに、必ずA子のお母さん(息子の妻)への感謝の言葉も綴られていたそうです。
「A子、お誕生日おめでとう。A子のお母さんのおかげで、私は、長生きができている」
A子がお母さんに「おばあちゃんが、お母さんのこと、こんなふうに感謝していたよ」と伝えると、お母さんは顔をほころばせて喜ぶそうです。
A子は、「そんなお母さんの顔を見るのが大好き」でした。
おばあちゃんは、日頃から、お母さんに感謝の気持ちを伝えていました。でも、お母さんにとって、「娘を通して間接的に伝えられた感謝」は、いつも以上に嬉しかったのではないでしょうか。
なぜなら、「人づてに伝わった感謝」には、直接、感謝を言われるよりも、真実味があるので、「本当に感謝されているのだろうな」と感じることができるからです。
他人を介し「人づてに伝わった感謝」のことを、私は「三角感謝」と呼んでいます。
最近では、「食べログ」など、多くの「口コミ」サイトがアクセス数を集めていますが、どうしてだと思いますか?
それは、企業やお店が発信する「直接的な情報」よりも、他のユーザーや友人が発信する「間接的な情報」に、ユーザーは信憑性を感じているからです。
こうした効果を、心理学では「ウィンザー効果」と呼びます。
「ウィンザー効果」は、『伯爵夫人はスパイ』(アーリーン・ロマノネス著/講談社より引用)というミステリー小説に登場する「ウィンザー伯爵夫人」の、
「これを忘れないでね。いつかきっと役に立つわ。第三者のほめ言葉は、どんなときでもいちばん効き目があるのよ」
という言葉に由来するといわれているそうです。
「感謝」の気持ちも「ウィンザー効果」と同じで、相手から直接伝えられるよりも、他人を介して伝えられたほうが、何倍も、真実味があって、効果的なのです。
それは、ほめ言葉や感謝の言葉といった、プラスの感情だけではありません。「悪口」やウワサ話といった「マイナスの感情」も同じです。
何気ない悪口が、「三角悪口」となって本人に伝わったとき、相手の心を深く鋭く傷つけてしまうことがあります。
その内容こそ、「相手の本心」だと思えるからです。
口は災いの元です。
「自分が発した悪口は、本人の耳へ必ず入るもの」という前提で、話す言葉を選ぶことが大切ですね。