がんの治療は、1回の手術で終わるわけではない。手術の前には、がんの部位によって血液検査、画像診断、内視鏡検査など、さまざまな検査が行われるが、現在はこれも通院で複数回にわけて行われる。治療も、抗がん剤治療や放射線治療を組み合わせるのが一般的になっており、手術が終わって退院したあとに、通院での治療も続く。

 たとえば、放射線治療を受けることになった場合、毎日のように病院に通って、少しずつ照射することになる。がんの部位や大きさなどにもよるが、場合によっては週5日の照射を2ヵ月続けるといったこともある。

 通院に何時間もかかる遠くの病院だと交通費の負担だけではなく、体力的にも大変だろう。仕事も続けられなくなり、退職を余儀なくされる可能性もある。

 家の近くの病院に通ったほうが、経済的にも、体力的にも負担を抑えられる。「テレビで紹介された東京の病院」に行かなくても、一般的ながんの標準治療は適切な治療が受けられる地域の病院も増えている。

 がん診療連携拠点病院は、「がん情報サービス」(http://ganjoho.jo/)のサイトで探すことができる。ここに掲載されている病院は、がん診療の基準をクリアしているところなので、自分の地域のがん診療連携拠点病院を探してみるといいだろう。

かかりつけ医の紹介状で
拠点病院の初診料を節約

 がんの患者が退院し、自宅に帰ったあとも、地域で切れ目のない治療とケアが受けられるように、がん診療連携拠点病院が中心となった、近隣の中小病院や診療所、訪問看護ステーション、調剤薬局などのネットワークづくりも行われるようになっている。

 日本のがん治療の現状は、まだまだ十分ではないが、それでもがん対策基本法ができたことで、少しずつ治療体制は整い出している。

 拠点病院には「がん相談支援センター」も設置されており、特別な研修を受けたメディカルソーシャルワーカーなどが、がんの専門相談員として、治療や療養生活、医療費など、がんのさまざまな問題の相談にのっている。その病院で治療を受けていなくても、がんの患者なら誰でも利用でき、電話での相談も受け付けているのもメリットだ。

 ただし、がん診療連携拠点病院の多くは、特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院で、診療所や中小病院からの紹介状を持たずに受診すると、通常の医療費のほかに初診料が5000円以上かかってしまう。

「もしかしたら、がん?」と思ったら、まずはかかりつけの診療所や中小病院を受診して、がんの疑いがあると分かったら、がん診療連携拠点病院に紹介状を書いてもらうようにしよう。