ダメ部下を作っていた課長の元で、部下がよく働くようになり自然と成果も上がるようになってきた。その背景には、部下にある習慣を身に着けさせることがあった。そのある習慣とは?

ダメ部下でも、「自然と成果があがる部下」に変身できる!

連載第1回で紹介した松本課長は、目標については当然のことですが部下に示していました。

 しかし、わたしから見れば「甘い」のひとことでした。つまり当月の売上目標を決めて部下に示したら、それで終わりなのです。

 1週間の目標がありませんし、日々の目標もありません。ですから日々を部下たちは目標を意識することなく営業活動に取り組んでいました。

 そのような職場環境で、松本課長に具体的なことを質問してわかったことがあります。

 それは部下たちが営業に出かけるのが遅いことです。いろいろと資料をそろえたり、電話をしたりして、昼を過ぎてから出かける状況でした。

 そうなれば当然ですが、訪問件数も少なく、「顧客と会えなかった」という報告もありました。

 1週間が過ぎてどう考えても、このペースでいけば目標に達しないとわかり、訪問件数を増やすように部下にうるさく言って、ようやく早く出かけるようになるそうなのです。

 部下の気持ちになって考えてみましょう。

 月の初めはゆっくりしたいのです。悪気はありません。そのうち頑張ってなんとか上司の出した目標は達成したいと思っています。

 上司も月が始まったばかりだからうるさく言いません。部下は自分のペースで仕事をしているのです。

 放置しておけば、部下は甘くなるのが普通です。もちろん自分に厳しい部下もいます。この人は貪欲に目標を追求して成果を上げる人です。

 そうではない部下を、よく動くようにして自然に成果を上げさせるかが上司の役割です。

 よく動くとはどういうことかを考えましょう。

「時間管理」「行動管理」で
スピードがぐんぐん上がる!

 仮に目標が半分しかできない部下でも、2ヵ月あれば1ヵ月分の目標を達成できるわけです。要はスピードなのです。

 スピードを上げるためには、どうしたらよいでしょうか。

 それは『時間管理』です。有能な部下は自分で時間管理ができます。

 そしてもうひとつは、『行動管理』です。この『時間管理』も、『行動管理』も習慣なのです。

 貪欲で成果を出す部下はこれらが習慣として身に付き、上司に言われなくても自然にできるのです。

 ここで貪欲と言いましたが、時間と行動の管理が習慣となり身に付いている人は、べつに自分のことを貪欲とは思っていません。ふつうだと思い、そうしなくては自然ではないし、時間にだらしなくできないし、行動を曖昧にできないだけなのです。

 このようなことを話したら、ようやく松本さんはわかってきたようです。

 これまでは、毎日の目標を示すと、部下がプレッシャーを感じて萎縮してしまうと考えていたのでした。あえて日々の目標は作らず、どう行動するかも部下の裁量に任せて、自主性を尊重していたわけです。

 しかし、これがダメ部下を作る原因となっていたわけでした。

 ではどうするのか。どこに力を入れればよいのかが分かると思います。それが次回の話で、『時間管理』と『行動管理』ができるように、躾をおこなうしかありません。