上司のほとんどは、部下に自発的に行動してほしいと期待しているはずです。でも、経験の少ない部下が戸惑っている姿を見ると、つい我慢できずに、ああしろ、こうしろと指示を出してしまうことが多いのではないでしょうか。
そんなふうに、日頃から命令・指示・伝達ばかりしてきた上司が部下に質問しようと思うと、いくぶんかの照れや面映さが生じるでしょうし、質問をされる側にも「急にどうしたんだろう」といった戸惑いがあるかもしれませんね。
質問する際に考えてしまうのが、質問のしかた、タイミングです。いつ、どんなふうに質問すればいいのか、いろいろ考えると思います。でも、それはそんなに難しいことではありません。まず、自分が日頃、部下にどのように接しているかを振り返ってみましょう。
研修などでマネジャーの方と話していると、みなさん、部下と接する時にいろいろ気を配っていることを感じます。例えば……、
● 高圧的になることをなるべく避け、話しやすい雰囲気をつくるようにしている。
● 指示は仕事がスムーズに進むように、簡潔かつ明快に話すようにしている。
● 部下がこちらの言っていることを理解できるように、自分の思い、考え方、イメージ、背景などをできるだけ多く伝えるようにしている。
● 時には自分の話は長いのではないかと反省する。
● 部下に声をかける時は、部下がどのくらい忙しいか気を配りながら、タイミングを見計らっている。
● あまり甘やかすとつけあがるのではないかと思い、あえて厳しく接する時もある。
日頃から、部下に対してこうした気配りができていれば、よい質問ができるようになるには、あともう一歩です。
部下が話す時間と
自分が聞く時間を増やす
その一歩とは、部下の話をよく聞くことです。こういうと、「部下の話なら聞いているよ」と思うかもしれませんが、まずは、あなたが話す時間(量)と部下が話す時間(量)を客観的に比べてみてください。おそらくあなたが話をしているほうが多いのではないでしょうか。
だとしたら、その割合を変えてみましょう。あなたが話すよりも部下が話す量を増やしていく、つまり、あなたが話を聞く分量を多くしていくのです。
部下の話を注意深く聞いてみると、部下はいろいろなサインを出していることに気づくはずです。力を込めて話している時、なんとなく歯切れが悪いなと感じる時、気のない話し方をしている時……、どんな場合にも、そこには部下からの隠れたシグナルが発信されているのです。