またも日本はインターネット革命に乗り遅れるのか?

 UberやAirbnbといった、インターネットを用いたいわゆる「シェアリングエコノミー」のサービスが欧米を中心に広まり始めている。しかし、日本ではタクシー業界や旅館業界などの抵抗も根強く、それぞれの業界特有の規制のせいで、これらの便利なサービスがまだ全面的に利用できる状態になっていない。政府主導の委員会などで規制緩和を検討したり、特区を設けて実験的にサービスを開始したりしているのが現状だ。

 しかし、利害関係のある既存事業者も、自分たちのビジネスを守るために必死でロビー活動を繰り広げるため、折り合うのはなかなか難しそうだ。

 今後、インターネットを活用したこのようなイノベーションが、タクシーや宿泊業界だけでなく、さまざまな産業で起こると考えられる。日本がこうした世界の潮流に乗り遅れないためにはどうするべきなのだろうか。

『サードウェーブ』
スティーブ・ケース著/加藤 万里子訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
260p 1600円(税別)

 本書の著者であるスティーブ・ケース氏は、アメリカ・オンライン(AOL)の元CEOで共同創設者。ケース氏が立ち上げたインターネット・プロバイダのパイオニア的存在であるAOLは1990年代に急成長を遂げ、2000年1月にメディア大手のタイム・ワーナーと合併。「AOLタイム・ワーナー」の時価総額が当時3500億ドルを超えるなど、米国史上最大の合併と騒がれた。

 しかしITバブルの崩壊を引き金とした経営不振を機に、2003年にケース氏は同社会長職を辞任。AOLとタイム・ワーナーの合併もその後2009年に解消されることになる。

 ケース氏は現在、投資会社レボリューションの会長兼CEOを務めるかたわら、ケース財団の会長として若き起業家の支援に尽力している。また、"グローバル・アントレプレナーシップのための大統領特使(PAGE)"メンバーも務める。

 本書のタイトル「サードウェーブ」とは、未来学者のアルビン・トフラーが1980年に出版した『第三の波』にあやかったものだ(原題はどちらも"The Third Wave")。トフラーは『第三の波』の中で、農業革命(第一の波)、産業革命(第二の波)に続いて情報革命が起こることを予言していた。

 本書でケース氏は、トフラーの言う「第三の波」、すなわち、情報化社会におけるインターネットの発展をさらに三つの段階に分けて考察している。