家族が脳死状態になり、「臓器移植」の判断を迫られたとしたら――。今年7月に施行された改正臓器移植法により、本人の意思表示がなくとも家族の承諾があれば、脳死患者から臓器提供が行えることになった。平穏な日常の中で「脳死」「臓器提供」といった緊急事態は想像しにくい。アイシェア(東京都渋谷区)はネットユーザー(20代~40代の男女)431人を対象に、臓器提供の意思表示の実態に関する調査を行った。
法改正「知っている」は8割以上
しかし、意思表示「している」は20%以下
調査によると、移植法改正を「知っている」と回答したのは全体の80.3%。「知らない」は19.7%と少数。男女別では男性が76.7%、女性が85.0%と女性の認知度が高かった。法改正への関心は高いことが推測される。
しかし、関心の高さが意思表示につながっているとは言えないようだ。アンケートで臓器提供の可否について意思表示を「している」と答えた人は18.3%。「していない」人に、今後の意思表示についての意向を尋ねたところ、「したい」は37.8%、「したくない」が62.2%だった。
「している」「したい」人の理由は、「誰かの役に立ちたい(から、臓器提供をするという意思表示を行う)」など。また「自分の意思に反して臓器提供をされては困る(から、臓器提供をしないという意思表示を行う)」「臓器提供したくないから(同)」という逆の理由も。「家族が判断に迷うといけないから」という回答もあった。
一方、「したくない」人の理由は、「残された家族の気持ちに任せたいから」「まだどうしていいかわからない」などのほか、「脳死でも回復する可能性があるなら臓器は提供したくない。でもこの意思を表示すると世間から非難されそうなので、表示しない」という回答もあったという。