南欧では政治家の女性スキャンダルは問題にならないとよくいわれる。70歳を過ぎても数々の女性スキャンダルを起こしてきたベルルスコーニ伊首相にイタリアの男性は内心憧れている、という話は英国などで広く信じられている。

 しかし、昨年10月下旬にベルルスコーニの17歳の女性とのスキャンダルが発覚してからは、「冗談にならない。いいかげんにしろ」という怒りがロンドン在住の知人のイタリア人男子学生のあいだで激しく高まった。普段陽気な彼らが怒るのだからよほどのことだ。

 11月に英「ガーディアン」紙は「この男はどうしていまだに権力を維持していられるのか?」というベルルスコーニ特集を掲載した。その記事を彼らに見せたところ、「そうなんだよ!」と共感を見せた後に、政治が機能していないことを深く嘆いていた。12月以降、ベルルスコーニ辞任を求めて、ローマなどで若い人びとがデモや暴動をたびたび起こしている。イタリアの問題は、既得権益を持った中高年が若い人びとにチャンスを与えないことにある。ベルルスコーニは発覚した「7度目」の女性スキャンダルで現在揺れている。