会社をつぶさないようにする戦略を指南した4刷突破の『借りたら返すな!』の著者による待望の第二弾がいよいよ発売!
新刊『財務諸表は三角でわかる 数字の読めない社長の定番質問に答えた財務の基本と実践』は、経営に危機感を感じている経営者のベーシックな質問からみえてきた、「これだけ知っていれば何とかなるだろう」を基準にした財務の超基本です。
カリスマ社長でも、有名な企業でも、数字が読める人がトップでいるとは限りません。数字が読めなくても、会社のかじ取りはできます。ただし、会計がわからないと、自社の本当の実力を把握したり、適切な戦略を立てたりすることができないのです。
文系だから読めないが通用する時代ではなく、「ビジネススキル」としての「数字を読む能力」は求められています。
本作のサブタイトルにあるように、数字の読めない社長の定番質問に答えた内容です。むずかしいお勉強本ではありません。
財務諸表は、調達、投資、回収の三角で考えていけば、とんでもなくわかりやすくなります。
経営者は財務戦略を敷くにあたり、「数字が読めない」では通用しません。その問題を60分で解決してくれる新刊『財務諸表は三角でわかる 数字の読めない社長の定番質問に答えた財務の基本と実践』から財務戦略の基本をわかりやすく紹介。
簿記の知識がなくても「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/S)」の3つの財務諸表(計算書)がわかるように、簡単に解説していくと同時に各財務諸表のつながりについても説明していきます。

C/S(キャッシュフロー計算書)がなくても<br />会社のお金の流れが手に取るようにわかる<br />

 

B/Sを2期比較することで「お金の流れ」を読む

 C/S(キャッシュフロー計算書)がなくても、B/S(貸借対照表)から大きな部分はつかめます。

 B/Sは一時点の財産の残高しか示していないので、お金の流れはわかりませんが、B/Sを2期比較することで、「お金の流れ」が見えてきます。

 たとえば次のB/Sでは、何を読み解くことができるでしょうか?

C/S(キャッシュフロー計算書)がなくても<br />会社のお金の流れが手に取るようにわかる<br />

 現預金が100万円に減っています。この原因は他の科目に表れます。

 まずは右側の調達源泉を確認します。長期借入金が500万円から700万円と200万円増えています。借入金が200万円増えているのに現預金が100万円減っているということは300万円お金が減ったといえます。

 純資産の部を確認すると、利益剰余金が増減していません。

 つまり、今期の利益がゼロということを意味します。赤字ではないので、お金が減った分は投資に回っていることになります。そこで、資産側を確認してみます。

 まず、売掛金が100万円増えています。売上が大きくなったのであれば問題ありませんが、買掛金が増えていないので、おそらく違います(実際にはP/Lを見て確認します)。

 回収サイトが遅くなったのか、滞留している債権があるのか確認が必要です。

 また、在庫が200万円に増えています。売上が増えていないのに在庫がこれだけ増えているとしたら、余剰在庫の可能性があるので注意が必要です。

 このB/Sでは、流動資産の換金が遅くなったために長期借入金が増えていると読むことができます。もちろん回収サイトが遅くなったり、在庫が増えたりした分、運転資金として長期借入金が増えているのであれば問題ないのですが、利益が出ていないのに現預金がこれだけ減っているのはあまりよい状況とは思えません。回収サイトを短くしたり、在庫の回転率を上げたりする努力をすべきです。

 最後に固定資産を確認すると、保険積立金が100万円増えています。運転資金の増加による借入金の増加は理解できますが、保険積立金への投資は危険です。お金を減らして節
税している状態なので、改善が必要なことが読み解けます。