人と違うことをやる。リスクを取ってでも新しい道を行く──。そんな若きイノベーターたちはどう育ってきたのか。今回は、誰でもアニメのキャラクターに扮して「バーチャルYouTuber(バーチャルライバー)」になり、動画を配信できる「にじさんじアプリ」を開発、現在はバーチャルライバーが所属するタレント事業「にじさんじプロジェクト」を手掛ける、いちからの田角陸さんです。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

将来は何をやるにしても
東京に来ないとまずい

──神戸育ちですね。

いちから代表取締役社長CEO 田角 陸氏Photo by Masato Kato 拡大画像表示

 有馬温泉の近くの山の方です。子供の頃のことは、あんまり覚えていないのですが、両親に聞く限りでは、落ち着きがなく、興味があるものがあればリスクを顧みずにそっちへ行ってしまうような子供だったそうです。

 その頃に何になりたかったかも覚えていなくて、小学校のときに「建築士」と書いたのが残っていて「へえ、そうだったんだ」と。

──中学受験をして三田学園へ進んでいます。

 5、6年生のときに親が、地元の公立へ行くのか中高一貫校を受験するのか、自分の人生なのだから自分で決めろというようなことを言ってきたんです。考える機会をくれたのはデカいなと思います。

 それで、中高一貫校の方が楽だなと考えました。高校受験をするとなると、大学受験まで3年間しかないけれど、中学で受験しておけば6年間遊べる、と。

 塾の先生には「遅い」と言われましたし、実際、4年生くらいから塾に通っている人たちに追い付くのはちょっと大変でしたが、遊ぶのも、クラブチームでやっていた野球もやめて、全てを捨てて受験勉強に集中しました。