32月5日、記者会見で握手をするカナデビアの桑原道社長(左)と日鉄エンジニアリングの石倭行人社長 Photo:JIJI

日本製鉄子会社の日鉄エンジニアリングが、エンジニアリング大手のカナデビアと統合に向けた協議を開始した。新会社の出資比率は未定だが、日鉄が日鉄エンジを「非連結化」することは確実とみられる。本稿では、日鉄が日鉄エンジの統合先に非鉄鋼系メーカーを選んだ理由を解明するとともに、日鉄エンジの日鉄グループからの分離が不可避とみられる理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

国内最大のエンジニアリング企業誕生へ
数年前から日鉄エンジ“売却”準備とオーナー探しが本格化

 国内鉄鋼最大手の日本製鉄の完全子会社である日鉄エンジニアリングが、エンジニアリング大手のカナデビアとの経営統合に向けた協議を開始した。統合が実現すれば、売上高で1兆円を超える国内最大のエンジニアリングメーカーが誕生することになる。カナデビアを存続会社、日鉄エンジを吸収合併消滅会社として、2027年4月に“新生カナデビア”が誕生する予定だ。

 そもそも日鉄エンジは、旧新日本製鐵(現日鉄)のエンジニアリング部門が06年に分離・独立して誕生した会社だ。現在は日鉄の完全子会社で、年間売上高は4000億円に上る。

 CCS(二酸化炭素の回収・貯留)技術に強みを持つ日鉄エンジと、水素やメタンの製造を得意とするカナデビアが手を組めば、脱炭素分野でシナジーが見込めるのは間違いない。両社が手掛ける廃棄物処理の分野では、国内でのプレゼンス向上も期待できる。

 両社の発表によれば、日鉄とカナデビアの出資比率や詳細な条件は、今後の協議で詰めていくという。新会社の形態は、日鉄の完全子会社や上場子会社など、幾つものシナリオがあることになる。

 だが、鉄鋼大手各社の関係者は「日鉄エンジは日鉄グループから外れるに違いない」と口をそろえる。

 実は、今回のディールには数年前から伏線があり、日鉄エンジの売却は“既定路線”だったのだ。

 日鉄が、なぜ日鉄エンジを“非鉄鋼”のカナデビアと統合させることにしたのかも気になるところだ。国内鉄鋼大手のJFEホールディングス(HD)も神戸製鋼所も、それぞれ傘下にエンジニアリング会社を持っており、日鉄エンジのパートナーは同業の子会社でもよかったわけだ。シナジーが見込めそうな同業をパートナーに選ばなかったのはなぜか。

 次ページでは、日鉄が日鉄エンジの統合先に非鉄鋼系メーカーを選んだ理由を解明するとともに、日鉄エンジの「非連結化」が濃厚な理由を明らかにする。