人と違うことに挑戦し、リスクを取ってでも新しい道を行く“イノベーター”たちは、何を原体験に、どんな環境でその思いを育んできたのか。今回は、AIを使った事業売買のマッチングなどM&A仲介サービスを行うM&A総合研究所の佐上峻作さん。厳しい経営者で、経済的な援助者でもあった祖父の影響を大きく受けてきました。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

医学部への進学断念で
祖父が言った「投資失敗」

――どんな家庭で育ちましたか。

佐上峻作M&A総合研究所社長好きな言葉は先意承問。「相手の意図を先に察して動くこと」を社内でも徹底している Photo by Masato Kato 拡大画像表示

 父は警察官、母は専業主婦ですが元々は幼稚園の先生で、時々ピアノを教えていました。五つ上に兄がいます。父の警察官という仕事については、子供心に正義感の強い良い職業だと思っていました。

 父方の祖父は不動産会社を経営していました。近所に住んでいたので、毎週のように遊びに行っていました。うちは両親は激甘でしたが、祖父が厳しかったんです。要求レベルが高く、間違ったことをするとめっちゃ怒られました。

――ご両親の教育方針で覚えているものはありますか。

「子供は親の所有物ではない」という考えで、対等に話してくれました。なにごとも「自分で考えなさい」と教えられました。

 生き物が好きで、遊びといえば池でザリガニを捕まえたり、カマキリ、バッタ、あとはクワガタも育てました。

 体長8センチメートルのクワガタに100万円の値が付いたと聞いて、(クワガタ専門店の)奈良オオクワセンターの店員さんに教わりながら飼育方法を研究した時期もあります。最終的に7~8センチメートルまでいきました。ただ、その頃には値崩れしていましたし、育てているうちにかわいくなっていたので、結局は家で飼い続けました。