2019年版の世界幸福度ランキングが発表され、日本は58位と昨年よりもさらに順位を下げた。一方、例年通り上位を占めたのが1位フィンランド、2位デンマーク、3位ノルウェー、7位スウェーデンといった北欧諸国。北欧の幸福の秘密は一体どこにあるのか?(清談社 藤野ゆり)

仕事中2回のティーブレーク
15時には終業!の北欧諸国

コーヒーブレイクのイメージ写真人口は日本の10分の1にもかかわらず、GDPは世界第23位。スウェーデン人は積極的に休みながらも、生産性を落とさない Phoo:PIXTA

 WHOが実施する世界幸福度ランキングで、スウェーデンやデンマーク、フィンランドなど北欧諸国が常に上位をキープしているのは有名な話。最新の「世界幸福度ランキング2019」では、2年連続でフィンランドがトップだった。

 一方、日本は2015年の46位から下降線をたどり、昨年は54位、19年版では58位と、どんどん順位が下がっている。何をもって幸福とするかの定義は曖昧だが、そもそも北欧諸国は日本と比べ税金も高く、決して暮らしやすいとはいえないはずだ。

「北欧諸国は消費税が高く、スウェーデンとノルウェーは25%、フィンランドは24%です。外食や旅行などのぜいたくはなかなかできず、ブランド品は買わない人がほとんどですし、自家用車を持つのも難しい。しかし社会保障制度が整備されている北欧は、子どもの教育費や医療費が無料。老後の心配はほとんどないといってもいいかもしれません」

そう話すのは、北欧流ワークライフデザイナーとして活動する芳子ビューエル氏だ。ぜいたくや余裕のある暮らしができるわけではないが、未来には大きな不安を持たなくていい国。しかし、幸福度の高い北欧の幸せの秘密はそれだけではないはず。芳子ビューエルさんは、彼らの休息の仕方と文化にヒントがあるのではないかと話す。

「スウェーデンで生まれた『フィーカ』という休息の文化。これが、北欧人のメンタリティーのカギを握っているかもしれません」

 聞き慣れない言葉だが「フィーカ」とは一体どのような状況をさすのか。

「フィーカとはスウェーデン語でコーヒーブレークの意味を持つ動詞です。フィーカは伝統文化であり、単なるブレークタイムではなく働き方や生き方など北欧人の考え方の根底につながっています」

 一般的に彼らは仕事中、午前と午後の2回フィーカを楽しむうえに、仕事は15時ごろに終えて余暇を楽しむ人が多いのだという。さらにサマーバケーションは2週間から1ヵ月取得するなど、北欧人はオンとオフをきっちり分けている。

「ストックホルムでは夏の間に『フィーカバス』というものが走ります。バスの中にはテーブルと、コーヒーなどのドリンク、ちょっとしたスイーツが用意されています。移動しながらフィーカを楽しむためのバスというわけです。フィーカが生活に溶け込んでいるのです。しかもフィーカの方が断然ランチやディナーより安上がりです」