中国国旗Photo:Reuters

 【北京】中国のハイテク企業にとって、コンテンツを監視するモデレーションツールは一大事業となりつつある。事業を通して中国式の検閲が世界に広がる可能性がある。

 米国のハイテク企業は既に、ポルノやヘイトスピーチ、過激な暴力を含む不適切なコンテンツをネットから排除するため、コンテンツモデレーションシステムを活用している。

 一方、中国では政治的に問題となり得るコンテンツを含め、あらゆる不快コンテンツの削除がプラットフォーム各社に要求されるため、中国企業は大きく異なる道を歩んでいる。アリババグループやテンセントホールディングスといったハイテク大手は、政治的コンテンツを狙い打ちにする高度なシステムを開発し、その活用を希望するあらゆる顧客に販売している。

 顧客の大半は他の中国企業だ。政府の怒りを避けるため、習近平国家主席ら指導部に言及しているコンテンツを削除し、最近の香港デモや1989年の天安門事件など慎重な扱いを要する話題を制御することもシステム用途の一端となっている。サービス利用者や提供者の話で明らかになった。中央政府に反抗的な新疆自治区やチベットなどの地域言語で書かれた政治的に微妙なコメントを探すために使う企業もある。

 中国のハイテク大手はこうしたツールを幅広く提供することで、中央政府の検閲プログラムの主要提携先となり、当局の指針に基づき自社で一段と効率的かつ安価にデジタルコンテンツを監視できるようになっている。