つまりベンチャーであっても大企業であっても、調整型とリーダーシップ型、双方のマネージャーが必要なのだ。調整型とリーダーシップ型の双方の特性をまとめると、下図のようになる。

2つのマネージャータイプの特徴(『その仕事、全部やめてみよう』より)

 現実的には「調整型3:リーダーシップ7」「調整型8:リーダーシップ2」のようにひとりの人間が両方の能力を持つが、ともかくもマネージャーの要素は大きく2種類に分けられる。

今すぐ捨てるべき先入観

 私は自分がリーダーシップ型寄りなので、「どういう人がマネージャーに向いているか」と聞かれると、まず想起するのが「リーダーシップ型のマネージャーに向いている人」になりがちだ。逆に調整型の人がおそらく最初に想起するのは自分と似たタイプの人になるだろう。

 自分と似たタイプかどうか以外にも、「自分がこれまでついてきた上司がどちらのタイプだったか」もマネージャーに対する価値観に大きな影響を及ぼす。

 これまでの自分の上司がほぼすべて調整型だった人には、リーダーシップ型に振り切ったタイプのマネージャーは「マネージャーに向いていない」「マネージャーとしては失格」と映ってしまいやすい。逆もまたしかりだ。

 だが、実際にはどちらの能力も事業のステージや規模、その他の各種状況によってそれぞれ求められるものなので、正解はない。

 どちらも必要なのだ。