すでにカードの発行枚数と決済金額で日本を抜いた中国。すでに若者を中心に「稼ぐ前に使う」という消費形態が主流となっているため、中国のリテール金融市場は、「10年後には世界最大になる」と言われている。今回は、世尊商務諮詢(上海)有限公司(クレディセゾン(上海))総経理の塚崎剛朗氏に、中国のクレジットカードビジネスの現状について話を聞いた。

塚崎剛朗
世尊商務諮詢(上海)有限公司(クレディセゾン(上海))総経理の塚崎剛朗氏は、急拡大するクレジットカード市場への期待を滲ませる。

――中国では、クレジットカードよりもデビットカードが普及していると聞きましたが

 その通りです。2008年末時点で、中国における銀行カードの発行枚数は、約18億枚に上ります。そのうちクレジットカードの枚数は8%で、92%がデビットカードとなっています。

 中国の銀行カードには、「銀聯」マークを付けることが定められており、「銀行カード≒銀聯カード」と言っても過言ではないほど、銀聯カードが普及しています。

 中国政府主導で設立された「銀聯」は、正式名称を「中国銀聯股◯有限公司」と言い、中央銀行である人民銀行傘下の株式会社組織です。中国全土に跨る決済ネットワークを運営しています。

 「銀聯」のネットワークは、デビットカードだけでなく、中国で発生するクレジットカード取引、POS/ATMなどの銀行間取引を一元的に担っており、各々が別組織で開発運営されている日本を含めた先進国に比べ、格段に投資効率が良いと言えます。つまり、先進国のクレジットカード市場における「本質」を理解し、手を打っている。中国人は本当に賢いと思います。

 そして銀聯は、「購買力のある中国人が海外旅行時に銀聯カードを利用する」というバーゲニング・パワーを用いて、VISAやMASTERなどに並ぶ、第6の国際ブランドの地位を狙って、海外展開も積極的に図っています。

 もちろん、香港やマカオを除く海外で銀聯カードが使える加盟店は、先行するVISAやMASTERに比べてまだ圧倒的に少なく、取り引き高もVISAの10分の1程度です。