レコードのイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

令和の時代において「アナログレコード」の新規生産が増えている。日本の音楽市場は世界に比べると特異な「オタク気質」であること、若者が初めて出合う「面白いハードとソフト」としてレコードを楽しんでいることが背景にある。(コラムニスト、元ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)

令和のいまアナログレコードの生産爆増!
日本と諸外国の音楽市場には「大きな違い」

 日本レコード協会の統計によると、2020年の年間レコード生産実績は、数量で1億4634万枚(前年比19%減)、金額で1944億円(同15%減)である。この場合の「レコード」とは、ビニール製の黒いアナログレコードだけでなく、CDやテープ(カセットやオープンリールなど)、そして音楽ビデオ(DVDやVHSなど)の合計。CDが最も多く、2番目がビデオ(DVD、BD)だ。

 レコード生産実績は毎年のように下落し続けている。ピーク(金額)は1998年の6075億円だったから、現在はピーク比で68%減と大幅なマイナスだ。ところが、このダウントレンドにおいて、なんとアナログレコードだけはこの10年で増えているという。

 国際的な統計では、日本でいうレコードは「フィジカル」と呼ばれている。つまり、物理的な個体メディアという意味だ。フィジカル以外は、無形の音楽配信、サブスクリプションなどのストリーミングだが、諸外国では「非・フィジカル」のシェアのほうが圧倒的に多い。

 さらに深掘りしてみると、日本と諸外国の音楽市場には「大きな違い」があることが分かる。どうやら日本人の「オタク気質」が関係していそうだ。