女優の田中裕子氏女優の田中裕子氏 Photo:JIJI

『おしん』で主役を演じて
国際的に知られた田中裕子

 北海道内で5番目に設立された旧制北海道庁立中学を前身とする。札幌市中央区にある。芸術家、小説家など文化人を多数、輩出させている。全国の高校の中でも珍しい存在だ。

 国内のみならず、国際的にもすこぶる知名度が高い卒業生がいる。誰あろう、女優の田中裕子だ。1983(昭和58)年から84年にかけてNHKが放送した朝の連続テレビ小説『おしん』で主役を演じた。国内での平均視聴率は52.6%、最高視聴率は62.9%(いずれもビデオリサーチ調べ)に達し、テレビドラマ史上空前の最高視聴率を記録した。

『おしん』は、脚本家の橋田壽賀子(旧制大阪府立堺高等女学校・現泉陽高校卒、2021年4月に死去)の原作。戦中と戦後の混乱期をたくましく生きた女一代記だ。田中は青春・成年期『おしん』の第37回から第225回までを演じた。

『おしん』は、80年代後半から90年代にかけて、世界70以上の国・地域で放送された。中国、台湾、香港などの中華圏やアジア諸国、さらにはイラン、エジプトなどのイスラム圏でも爆発的な人気となった。

 貧困からの脱却を図るアジアやイスラムの人々は、ひたむきに生きるヒロインに自らを重ね、女優・ユウコの顔を、脳裏に刻み込んでいった。日本の俳優・女優で国際的にこれほど知られた人物は、いないだろう。