丸井の新しいビジネスモデル「売らない店」は、なぜ売れているのかコロナ禍でも黒字を維持した丸井グループは、今「売らない店」の拡大を進めている Photo:PIXTA

「売らない店」にどう転換したか
丸井のビジネスモデル転換の歴史

「小売業」は、店頭で物を販売する業態と考えられている。しかし百貨店の丸井グループ(以下、丸井)は、今「売らない店」を進めている。なぜ、販売拠点である店舗で「売らない」事業ができるのか。「売らない」のに、どうやって丸井は利益を上げていくのであろうか。(注1 )

 丸井の成長の歴史は、大きく3つのステージに分けられる。

 第1ステージは、初代青井忠治氏の創業期であり、家具の月賦販売を中心に成長し、1960年には日本で初めてクレジットカードを発行した。

 第2ステージは、2代目青井忠雄氏がハウスカードである「赤いカード」を始め、金融事業をスタートさせた時期。そして1980年代半ばに、若者向けのDCブラントを揃えて急成長した。お金がない若者が憧れのDCブラント品を購入するには、分割払いの「赤いカード」を使って、丸井で買うしかなかったのである。

 しかしバブルが崩壊し、若者向けブラントの人気が低迷、またファストファッションの隆盛により、丸井のビジネスモデルは苦戦を強いられた。

 第3ステージは、現社長青井浩氏の時代であるが、2007年に貸金業法改正の施行が決定され、キャッシング金利の上限改定や、過払い返金請求対応などで、丸井の業績は多大な影響を受けた。