カトリック校と神奈川の事情
吉祥寺駅に近い藤村女子は、ユニークな入試を毎年繰り出すことで印象的な学校だ。創立90周年の今年、教頭と副校長を務めた廣瀬真奈美氏が新校長に就任した。前校長の柳舘伸氏は、中学でのコース制の廃止、高校での3つのコースへの道筋を付けての退任となった。
カトリック女子校では、修道女(シスター)の教員が校長という例がかつては多かった。杉並区にある光塩女子学院では、2020年に就任した中高OGで上智大に学んだ前校長・佐野摩美氏の急逝を受けて、新校長に就いた鳥田信二氏は副校長からの昇格である。
八王子市にある東京純心も、系列の大学を持つカトリックの女子校である。長崎の純心聖母会が設置母体で、本校もシスターが創立しており、キャンパス内には修道院もある。前校長の松下みどり氏も、新校長の森扶二子氏もシスターである。
神奈川では、横浜女子御三家の1つである横浜雙葉が、木下庸子氏を校長に迎えている。前任の藤原恵美氏は英語科教員で、2018年に副校長から昇格していた。開校以来、聖職者が校長を務めてきた。1999年に漆原隆一氏が校長に就き、その後、千葉拓司氏が就くなど、男性信徒の校長の時期もあった。県内の女子校ではフェリス女学院が突出しており、そこに洗足学園が並ぶような状況になっている。入試の実倍率が2倍に届かない現状も含め、これからどのようにしていくのか、手腕が問われることになりそうだ。
同じ県内のカトリック女子校では、2021年に湘南白百合学園で修道女(スール)以外の初めての校長が就任している。このあたりは学校によって対応が異なるようだ。
カトリック校以外の神奈川県内の女子校についても見ていこう。理事長に元米国大使、学園長に前開成校長を擁する北鎌倉女子学園でも校長が交代した。新校長は、神奈川県立湘南台高校と麻生総合高校の校長、神奈川県立高等学校長会副会長を務めた佐野朗子氏である。学園内には内部昇格も視野にあるようだが、時期尚早という判断だったのだろう。相模女子大学中等部・高等部の新校長には、武石輝久氏が就任した。
最後に、前回ご紹介できなかった共学校と男子校についても触れておこう。
埼玉県加須市にある開智未来では、数学科教員の藤井剛氏が新校長に就任した。前校長の加藤友信氏は物理の教員で、開智学園グループのICT部門を統括する役割も担っていた。
灘(神戸市東灘区)の卒業生で、母校の英語科教員となった和田孫博氏は、2007年に校長に就任、野球部の監督・部長も務めるなど名物校長だったが、70歳を機に後進に道を譲ることに。第9代校長となる海保雅一氏は教頭からの就任で、やはり英語科の教員である。
(2022年4月27日18:23 ダイヤモンド社教育情報)