生徒の自然への好奇心を喚起していく
――実験室の入り口は開口部も大きくて、部屋の中の様子もよく分かりますね。壁も白くて明るい。実験室も広々としています。
山田 物理・化学・生物・地学の4科は互いに関係する事柄もたくさんあります。生徒の自然に対する好奇心を引き出すためにも、各科の専門性に加えて、理科全体の横断的なつながりが見えるような取り組みをしたいと計画段階のコンセプトでも掲げていました。
3階の合同教室の壁はホワイトボードと同じように書き込めるので、小グループに分かれて活用することができます。また、1階にある階段教室では、プロジェクターから200インチの大型映像を投影することができ、他教科でも活用されていきます。
山田 ここに展示してあるのは日光で発電できる無色透明ガラスです。年内には屋上の温室に設置する予定ですが、学習用に置いてあります。
――これで発電できるのですか。屋上には小さな風力発電の装置もありますね。
山田 はい。発電量は少ないですが。屋上は緑化してあり、屋根の部分には50枚の太陽光パネルも設置してあります。ウッドデッキに設けられたベンチにはコンセントもあり、教員が一緒なら屋上で授業を行うこともこれから可能になります。天体観測もできますし、天気が急変したときなどに移動して、空を見ながら話をすることもできると思います。
――屋上の植栽も先生方で考えられたのですね。
山田 生物科の教員が、授業で活用できる樹種を選定しました。建物の内外にはさまざまな仕掛けが用意されています。ここからは新宿の高層ビル街も見えます。こんな都心部でも、自然に接することができます。
生徒自身が本来持っている自然に対する興味や知的好奇心を失わずに、大きく育んでいってほしいと思っています。高校生になると、どうしても受験のため問題を解くことに多くの時間を割くことになりがちで、自然に目を見張る感性のようなものは薄れていきがちですが、それをいかに継続させ、さらに深い学びにつなげていくのか、このサイエンスセンターで行われる授業にかかってきます。