学びの入口は一つではなく
正解のルートなどない

 例えば、算数を嫌がる子がいます。その子は、本当に算数の勉強をしたくないのでしょうか。

 もしかすると、興味を持つきっかけがないだけかもしれません。あるいは、勉強する意味が分からないだけかもしれません。難しすぎて、「どうせできない」と思っているだけかもしれません。頑張っているのに認められず、「やっても意味がない」と感じているだけかもしれません。

 ARCSモデルは「やる気がない」と一くくりにせず、学習意欲を支える条件がどこで不足しているのかを4つの視点から点検するためのモデルです。わが子は「もともとやる気がない」のではなく、注意・関心、関連性、自信、満足感のうち何が足りないのかを親子で見つけることで、勉強へのやる気を引き出していけばいいのです。

「学びへの入口は、どこでもいいんです」

 根本教授のお話の中で、特に印象に残った言葉です。

 子どもによって興味を持つきっかけも、理解しやすい説明も違います。教科書で分かる子もいれば、動画や図鑑、誰かとの対話を通して理解が深まる子もいます。虫が好きな子は、生き物への興味から理科が好きになるかもしれません。料理が好きな子は、分量や割合から算数に興味を持つかもしれません。歴史漫画をきっかけに、社会が好きになる子もいます。

 学びの入口は一つではなく、正解のルートなどないのです。

 同じ単元でも、「塾の先生の説明では分からなかったけれど、動画を見たら理解できた」ということは決して珍しくありません。「この教材ではできなかった」は、「能力が足りない」のではなく、まだ、その子に合う「入口」に出合っていないだけなのかもしれません。

 受験期は、目の前の結果が気になる時期です。模試の点数、偏差値、志望校判定、どれも大切な指標です。でも、本当に伸ばして育てたいのは、点数だけではありません。

「知りたい」という気持ち、「できるかもしれない」と思える自信、「頑張ってよかった」と感じる経験。その積み重ねが、受験の先にも続く「学ぶ力」になっていきます。