乙幡満男
「パクリは、ブランドを毀損する禁じ手だ」と思うだろうか。確かに丸パクリは良くないが、一部分を上手に真似るのは、時に有効だ。強いブランドは、他ブランドの成功パターンをうまく取り込んでいる。

ブランドを活性化させるためには、大なり小なりイノベーションを起こしていく必要があります。ここで、「新商品なんてすぐには思いつかない」「凡人にはそう簡単に技術革新は起こせない」などと嘆いてはいけません。早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は、イノベーションを生み出す方法について、「すでに存在する知と知を組み合わせること」と定義しています。

ブランドの世界では2位ではダメ。1位しか覚えてもらえません。1位を取るのは大変だと思いますか?いいえ、小さいブランドであっても、何らかの1位は目指せます。北海道のコンビニ「セイコーマート」をご存じでしょうか。全国規模でコンビニといえば、セブンイレブンがダントツでトップですが、こと北海道に限った話では、セイコーマートが1位なのです。

アウトドアブランドの「LOGOS」は、いわゆる「こだわり層」ではなく、ファミリー層を中心に「海辺5メートルから標高800メートルまで」で遊ぶ人たちをターゲットとしています。なぜでしょうか。強いブランドは、二つのターゲットを分けて定める必要があります。

強いブランドは、人が無意識に判断できるレベルまで自社のイメージを刷り込むことに成功しています。さまざまな工夫を通じて、世間の人たちの頭の中にブランドの特徴を焼き付けているのです。「ロゴを隠したら、どこのブランドの商品かわからなくなるのは当たり前」と思うでしょうか。実は、全員が正解したブランドもありました。いったいそのブランドはどこでしょう?

強いブランドは、どのようなタイミングでロゴデザインを変更しているのでしょうか。新しいロゴのデザインを考える際は、時代のトレンドに加え、自社の事業戦略や顧客のニーズもふまえて検討しましょう。実際に行われたロゴ変更の事例をいくつかご紹介します。見比べてみると進化しているのがよくわかるでしょう。

ヨーロッパ情勢が混沌とし、世界的に経済状況が不安定な昨今。円安で物価が高騰し、モノやサービスの販売価格を上げざるを得ず、困難を感じている会社は少なくないでしょう。そのような中でも「ブランディング」をしっかりと行ってきた会社は、顧客から“ブランド力”で選ばれるので、物価高騰による悪影響は小さくて済みます。しかし、それがわかっていても、実際に取り組んでみたらうまくいかなかった、ということはありがちです。そこで今回は、これまでイオンやマツモトキヨシなど数々のPB(プライベートブランド)を成功に導いてきたコンサルタント・乙幡満男さんの最新刊『ブランディングが9割《ケーススタディ篇》』(青春出版社)から、ブランド作りやマーケティングで陥りがちな失敗と具体策について解説します。

時々、「海外で成功している企業はブランドが強いと言うけど、アップルやスターバックスのようなことをできるはずがない」とか、「ブランディングなんてコスト的にも、人材の面でも、自分たちには難しい。関係ないよ」といった言葉を耳にすることがあります。そんな風に思われた方も安心してください。ブランディングは、ルールや流れさえ理解してしまえば、難しいものではありません。

全般的に商品のグレードが高くなり、品質の「差」がわかりにくくなった現代。そんな時代に売上を伸ばすカギとなるのが「ブランディング」です。中身は他社と同じでも、「ブランディング」で商品価値の伝え方を工夫したところ、売上が何倍も伸び、販売単価も上がったという事例は実際にいくつもあります。そこで今回は、これまでイオンやマツモトキヨシなどで数々のPB(プライベートブランド)を立ち上げ、成功に導いてきたブランドコンサルタント・乙幡満男氏の著書『ブランディングが9割』(青春出版社)から、「ブランド力」のしくみや影響力について解説します。
