LOGOSPhoto:Diamond

アウトドアブランドの「LOGOS」は、いわゆる「こだわり層」ではなく、ファミリー層を中心に「海辺5メートルから標高800メートルまで」で遊ぶ人たちをターゲットとしています。なぜでしょうか。強いブランドは、二つのターゲットを分けて定める必要があります。
※本稿は、乙幡満男『儲かるブランドは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

ターゲットを絞っても売上は下がらない

「ブランドのターゲットを絞ったほうがよい」という話をすると、「ターゲットを絞ることがブランディングに有効なのはわかったが、対象とする人数が減れば、売上も下がってしまうのではないか?」と聞かれることが少なくありません。

 もちろん、極端にターゲットを絞り込んでしまうとそのリスクはありますが、多くの場合はそうではないと筆者は考えています。

 例えば、とある珈琲店のターゲットを「静かな空間でくつろぎながら、本格的な美味しいコーヒーを飲みたい人」に設定したとしましょう。必然的に、ワイワイにぎやかにおしゃべりしたい学生やファミリー層は来なくなるかもしれませんが、それによって売上は減少するでしょうか。

 彼らが来なくなった代わりに、「うるさい空間は嫌だ」と思っていた別の客層のニーズを満たすことができれば、売上が下がるどころか伸びる可能性があります。

 ほかにも、禁煙を徹底することでタバコの香りが苦手な人のニーズに応えたり、逆に喫煙スペースを設けてタバコを吸いたいビジネスパーソンを取り込んだりと、ターゲットを絞って特定の客層のニーズを満たすことで、客数を伸ばすことは十分に可能なのです。