小倉健一
「令和版所得倍増計画」「金融所得課税の強化」「健康危機管理庁」…。岸田文雄首相が9月の自民党総裁選で掲げた「目玉政策」は、事実上の選挙戦スタートの中でことごとく封印されている。さらに、岸田首相が演説などで使ってきた言葉は“借り物”だらけであり、「パクる、ブレるというイメージが首相についてしまうと選挙戦にもマイナスの影響が出る」と、借り物を自分のものにする「借りパク」を不安視する悲鳴も自民党から聞こえてくる。

「なんだ、この記事は!誰がこんなことを言っているんだ」。自民党総裁選に勝利し、党役員人事を終えた岸田文雄首相は、ある新聞記事を目にして珍しく怒りをにじませた。全国紙各紙の世論調査で歴史的に低調な内閣支持率が続出する前の出来事だ。岸田首相が怒った理由とは?

岸田文雄首相は、二階俊博前幹事長を自民党総裁選で抵抗勢力に設定して勝利を収めたことで、権勢を振るってきた二階派を窮地に追いやった。しかし、「3A」と呼ばれる安倍晋三、麻生太郎、甘利明の3氏が、代わりの闇将軍として自民党を牛耳る構図が鮮明だ。岸田首相が組閣した新内閣も「3A内閣」と呼ばざるを得ない状況にある。
