「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を持つ岸田文雄首相「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を持つ岸田文雄首相(中央)と山際大志郎経済再生担当相(左)、木原誠二官房副長官 Photo:JIJI

岸田文雄首相が総選挙後に策定する経済対策の原案を独自に入手した。その中身を全5回にわたって詳報する。第1弾で紹介するのは謎に包まれてきた「新しい資本主義」の原案だ。首相は9月の自民党総裁選で「数十兆円規模」の対策を公約したものの、その中身は不明瞭のまま。自らが掲げた「令和版所得倍増計画」も期待を裏切る修正で市場に動揺を与えてきたが、初めて明らかになる肝いりの経済対策で汚名返上につなげられるのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)

独自入手した岸田内閣の経済対策原案で
「新しい資本主義」の詳細が判明

 岸田文雄首相は10月8日の所信表明演説で、新自由主義的な政策は「富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだといった弊害が指摘されている」と述べ、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」を目指すと表明した。10月26日には主要閣僚と民間有識者らで構成する「新しい資本主義実現会議」(議長・岸田首相)の初会合を開き、分厚い中間層の再構築に向けて、あらゆる政策を総動員することを共有している。

 独自入手した経済対策の原案によると、「新しい資本主義」は以下の3分野への投資が柱の一つに据えられている。

(1)先端科学技術
(2)クリーン・エネルギー
(3)デジタル分野

 その中身を細かく見ていこう。