京都クリエイティブ・アッサンブラージュ
“現代のニーチェ”佐藤可士和「僕のブランディングの原点は、クラスの友達それぞれの“輝き”をみつけること」
19世紀のドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェが提示した「価値転換」をご存じだろうか。ニーチェは、他者を悪者にし、否定し、自分を肯定しようとする反動的な思考を批判した。それよりもむしろ、ひとつのものを肯定することで、新しい独自の価値を創造できると考えた。それは現代のイノベーションにも通じる思想だ。デザインの力をつかって現代の価値転換、つまりイノベーションを起こしているのが、佐藤可士和氏だ。佐藤氏の創造性について、京都大学経営管理大学院で「文化の経営学」を専門とする山内裕教授との対談を通じて読み解く。佐藤氏がユニクロのロゴ刷新について語る前編につづき、後編をお送りする。

ユニクロのロゴ刷新で、佐藤可士和が考えたこと
ユニクロや今治タオルでおなじみのロゴやリブランディングはいかにして、成し遂げられたのか。デザインの力をつかってイノベーションを起こし続ける、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏の創造性について、京都大学経営管理大学院で「文化の経営学」を専門とする山内裕教授が対談を通じて紐解いていく。前後編の前編をお送りする。

バイクカルチャーが映し出す、現代のアメリカンドリームの実態
自動車とバイクの発明は、個人の移動を革新した。そして「モータースポーツ」は、人々に移動の自由と、憧れを与える文化になった。前回は、『なぜひとは、バイクに乗ると「ワル」か「自由」になるのか?』についてお伝えした。今回は、山内裕教授がモータースポーツの聖地、アメリカに行き、モーターサイクルのカルチャーを取材。そのエピソードをもとに、アメリカのバイクカルチャーが現代において表現しているものは何なのかを読み解く。今回は山内教授とともに調査に同行したヤマハ発動機に勤める心理学者、末神翔氏にも話を聞いた。いま、世界的なバイクメーカーにとって、人文社会科学のような「非技術」の研究が、非常に重要な意味を持ちはじめているのだという。

なぜひとは、バイクに乗ると「ワル」か「自由」になるのか?
イノベーションを起こしたプロダクトやサービスには必ず魅力に溢れたストーリーがある。それらのストーリーが持つ本質的な力とは何か。それは人々に新しい時代をつくり、そこに連れ出すことだ。Kyoto Creative Assemblageでは、歴史的なイノベーションをケーススタディとして取り上げ、新しい世界観をつくるための手がかりを得る。今回は京都大学経営管理大学院で「文化の経営学」を専門とする山内裕教授が、「バイクに乗ると『ワル』か『自由』になるのか?」という視点で、ハーレー・ダビッドソンのモーターサイクルを分析。暴走族からバイク好きまでの生き方をつくった、バイクという文化を語り尽くす。

【スターバックス成功の理由】“コーヒー通”以外もファンにした仕掛けと、それを実現するまでの紆余曲折
スターバックスの成功は、アメリカの美味しいコーヒー「スペシャルティ・コーヒー」を広めたことにあった(第一の成功。前回参照)。しかし、現在のスターバックスを見てみると、本格的なコーヒーはむしろ少数派だ。スターバックスのコーヒーの本格とポップさはいかにして両立したのか? 前回に引き続き、多くの大学の教壇に立つ『探偵!ナイトスクープ』初代探偵・越前屋俵太氏(京都大学経営管理大学院研究員)と、京都大学経営管理大学院で「文化の経営学」を専門とする山内裕教授が、スターバックスの歴史的成功を調査する。スターバックスの成功の本質は、コーヒーではなく、イタリア語を売ったことにあった!?

【スターバックス成功の理由】「サードプレイスを作ったから」ではない!若者に受け入れられた真の要因
歴史的なイノベーションとして、引用されることの多いスターバックス。しかし、スターバックスがなぜ、コーヒーの新しい歴史をつくることができたのかについては、あまり知られていない。Kyoto Creative Assemblageは、歴史的なイノベーションをケーススタディとして取り上げ、新しい世界観をつくるための手がかりを得る。いわばイノベーションの“探偵”業務こそがそのミッションだ。今回は、多くの大学の教壇に立つ『探偵!ナイトスクープ』初代探偵・越前屋俵太氏(京都大学経営管理大学院研究員)と、京都大学経営管理大学院で「文化の経営学」を専門とする山内裕教授が、スターバックスの歴史的成功を調査する。その成功は、人々の潜在ニーズを満たしたからではなく、社会の変化を嗅ぎ取り、新しい時代を表現したからだった。

人新世の産業デザインは、人間以外のステークホルダーが鍵を握る
産業、さらには企業など、より具体的な存在がその振る舞いを変え、しばし西洋中心主義的な、単一のイデオロギーに支配された「ひとつの未来」から脱するためにはどうすればいいのか?「ディープケア・ラボ(Deep Care Lab)」の川地真史氏、「リ・パブリック(Re:public)」の内田友紀氏に、人新世の産業デザインについて聞いた。(構成:森旭彦)

「人新世」に必要なデザイン思考:「ひとつの世界にあるひとつの未来」から脱する方法とは?
人類の営みが、地球環境に不可逆的な影響を与える時代、「人新世(じんしんせい/ひとしんせい)」。人新世において、人類はどのように社会や文化を築けば良いのか。どのようにしてこれまでの経済的成長とは異なる成長を模索すべきか。現在、産業界を含め議論が活発化しつつある。今回は、「ひとつの未来」から脱する方法を探り、その思考実験としての実践として、アートの可能性を探る。京都工芸繊維大学の水野大二郎教授、そしてアーティストの長谷川愛氏(京都工芸繊維大学デザイン主導未来工学センターKYOTO Design Lab特任研究員)に聞く。

「人新世」に必要なデザイン思考:地球の限界との共生はいかにデザインされるか?
先の2回に分けてアート思考を取り上げてきた。現代にアート思考が求められる理由は、限界を迎えている資本主義を批判することが、資本主義の新しい価値になるから、というものだった。今回のテーマ、「人新世」で取り上げることは、資本主義が直面するもうひとつの限界について。すなわち、異常気象・気候変動、さらに有限な資源が前提になる地球において、旧時代的な経済成長と技術発展が持続できないという限界だ。そしてその中でひとは、企業はなにを、どのように生み出すのかーー。京都大学経営管理大学院の山内裕教授と京都工芸繊維大学の水野大二郎教授に聞く。(構成:森旭彦)

「問題解決のツール」としてのデザイン思考に失われ、アート思考にあるものとは?
近年、企業において「デザイン思考」、そして現在は「アート思考」が注目を集めている。その論調というのは、概ねイノベーション創出のための新しい思考法として、デザインやアートをビジネスに役立てましょうというものだ。しかし、実際のアートというものは、本来、ビジネスにおいては役に立たない宿命にあるということを前回の連載では明らかにした。役に立たないということが、ビジネスで役に立つ可能性になる、というのがその真意である。この一見矛盾した自己批判、自己否定、自己破壊を受け入れない限り、アート思考をビジネスに役立てることは不可能だ。アート思考とは一体何なのか、アート思考に課された本当の課題とは何なのだろう? アート実践の根幹となる「エステティックス(美学)」の概念から紐解く。

なぜ今ビジネスや教養に「アート思考」が求められるのか?
京都大学経営管理大学院の山内裕教授が立ち上げた、社会人を対象にした創造性育成プログラム「京都クリエイティブ・アッサンブラージュ」のエッセンスを紹介する本連載。今回のテーマは「アート思考」。アートがビジネスで注目を集め、「アート思考」が注目されている。しかしその理由とは何なのだろう? いかにしてアートが資本主義において価値をつくるのか。それは現代において資本主義が限界に直面しており、アートによる資本主義批判こそが、現代における資本主義的な価値になるからだ。この価値の源泉のパラダイムシフトを理解することで、アート思考が現在注目されている本当の理由が分かる。

ヴィトンなどラグジュアリーブランドがこぞって「人間性」を志向する理由とは?その新潮流を読み解く
文化を創造するビジネスがいま、注目を集めている。そして文化の創造そのものが、大きな価値を生み出しているものが、ファッションをはじめとするラグジュアリー領域だ。ラグジュアリー領域は、高価なバッグや衣服に代表されるかつての典型的なラグジュアリーから変容を続けている。そしてラグジュアリーは、人文社会学と深い関係を持つ。今回はポストラグジュアリーをテーマとしているプロジェクト Letters from nowhereの方々、ミラノと東京を拠点にする、ミラノ在住のビジネス+文化のデザイナーである安西洋之さん、そしてイギリス文化、ファッション史、および「ラグジュアリースタディーズ」の専門家で服飾史家の中野香織さんのお話しから、ポストラグジュアリーを読み解く。

アップルの「iMac」に見る、世界観の提案としてのイノベーション
消費者のニーズをどれだけ見つめても、「破壊的イノベーション」の事例を踏襲しても、イノベーションが実現できないのはなぜなのか。それはイノベーションが「世界観」の提案であるからだ。京都大学経営管理大学院で「文化の経営学」を専門とする山内裕教授は、イノベーションの背景を読み解き、事業を文化の観点から設計する「文化のデザイン」を提唱する。この連載では、山内裕教授が立ち上げた、社会人を対象にした創造性育成プログラム「京都クリエイティブ・アッサンブラージュ」のエッセンスを紹介。社会で活躍する企業のビジネスリーダーやアーティスト、デザイナーらを取材し、ビジネスに活かせる文化のデザインをお届けする。

イノベーションをつくるのは、「文化」である
どうしてマクドナルドはハンバーガーを世界中に売ることができたのか? スターバックスはなぜ世界中の街角にあるのか? 一部の社会現象である「ヴィーガン」はいかにして世界的なトレンドになったのか? これらのイノベーションの背景には、ひとつの共通項がある。それはこれらが、新しい文化をつくったということだ。京都大学経営管理大学院で「文化の経営学」を専門とする山内裕教授は、これら人々を魅了するものの背景を読み解き、事業を文化の観点から設計する「文化のデザイン」を提唱する。この連載では、社会で活躍する企業のビジネスリーダーやアーティスト、デザイナーらを取材し、ビジネスに活かせる文化のデザインをお届けする。
