鳥越規央
大谷翔平選手の出身校である花巻東高校を今春卒業した佐々木麟太郎選手が、日本のプロ野球への志望届を提出せず大学進学を選択した。その進学先が米国のスタンフォード大学であることに加え、学費や寮費などが全額免除される「フルスカラシップ」の適用を受けることに注目が集まっている。

高校の生徒数は、少子化の影響で1989年の564万人をピークに単調減少し、2022年には300万人を下回った。高校野球(硬式)の部員数も生徒数減少のあおりで、特に14年以降減少の一途をたどり、15年には、男子サッカーの部員数を下回った。なぜ野球部員数が減少しているのだろうか。

2024年シーズンから、NPB(日本野球機構)2軍公式戦にオイシックス新潟アルビレックスBC(アルビレックスBC)と、くふうハヤテベンチャーズ静岡(ハヤテ)の2球団が参入することとなった。2球団が本拠地を置く都市は、両都市ともサッカーJリーグのクラブ運営では実績がある。では、野球でも安定した経営が見込めるのだろうか。

パ・リーグ3連覇を達成したオリックス・バファローズは、2005年にオリックス・ブルーウェーブが大阪近鉄バファローズを吸収合併するかたちで発足したプロ野球チームだ。オリックスは合併当初、大阪市内に本拠地を持ちながらも、チーム成績が振るわずファン獲得に苦心した。

2004年シーズンから北海道に本拠地を移転させた北海道日本ハムファイターズは、フロント主導でデータを駆使した経営手法で成功を収めた球団である。移転して3年後の06年にリーグ優勝を成し遂げ、日本シリーズを制覇。以降、07~16年までの10年間は、リーグ優勝4回、Aクラス8回と安定した成績を残してきた。

プロ野球のオールドファンからしたら、あの横浜スタジアムをファンが埋め尽くし、ユニフォームでブルーに染まる光景を想像することができただろうか。2011年シーズンにおける横浜ベイスターズの観客動員数は12球団最下位で、前年比91%まで落ち込んでいた。そのような不人気球団を11年11月に買収したのが、当時携帯電話向けゲーム配信の国内最大手だったディー・エヌ・エー(DeNA)だった。

阪神タイガースは、2023年シーズンに38年ぶりとなる日本シリーズ制覇を成し遂げた。優秀な投手陣の陰に隠れているが、攻撃陣もセ・リーグチーム得点数1位で優勝に大きく貢献した。

スポーツやビジネスの世界において、チャンスに成果を残す人材は「勝負強い人」として評価されることが多い。プロ野球でその“勝負強さ”を計る指標として真っ先に思いつくのは「得点圏打率」だろう。

往年の名選手であり名監督とも称された野村克也氏は「優勝チームに名捕手あり」という名言を残し、野球というスポーツにおいて捕手がいかに重要なポジションであるかを説いた。しかし、2023年のポジション別全球団平均年俸によると、捕手への評価が年俸に反映されていないようにも思われる。

プロ野球の先発投手にとって「勝利」という記録は最も目標とすべき指標とされている。勝利の記録は投手自身の力量に加え、自チームの攻撃力に依存する。そのため、自チームの援護点に影響を受けない先発投手の評価指標として作られたのが、クオリティースタート(Quality Start=QS)である。

近年の野球において、出塁率と長打率の合計で表される「OPS」(On base Plus Slugging)という打撃指標は得点との相関が強く、算出も容易なため、日本でも知名度は上がってきた。OPSは1を超えると超一流の打者という評価になるが、23年の大谷選手のOPSは1.066でMLBトップの成績である。

2023年シーズンの大谷翔平選手は打者として打率3割4厘、本塁打44本で本塁打王を獲得。投手としても防御率3.14、10勝をマークし、21年に続き2度目のMLBアメリカンリーグのMVPを受賞した。メジャーリーグのMVP選考において、重視される指標がある。
