プロ野球のオールドファンからしたら、あの横浜スタジアムをファンが埋め尽くし、ユニフォームでブルーに染まる光景を想像することができただろうか。2011年シーズンにおける横浜ベイスターズの観客動員数は、1試合当たりの平均で1万5,000人程度と12球団最下位で、前年比91%まで落ち込んでいた。座席稼働率は約50%にとどまり、一部の人気球団との試合以外では閑古鳥が鳴く状況だった。
この年の横浜ベイスターズの売上げ52億円に対して赤字は24億円という悲惨な経営状況。そのような不人気球団を11年11月に買収したのが、当時携帯電話向けゲーム配信の国内最大手だったディー・エヌ・エー(DeNA)だった。
DeNAが最初に着手したのが「顧客情報の収集」。「ベイチケ」という自社サイトでチケットを割引販売や先行販売することで購入者情報を収集・分析した。分析結果から、集客ターゲットを「仕事終わりに飲みに行ったり、休日も余暇を楽しんだりする20代後半から30代のサラリーマン層」に絞り込み、その層を「アクティブサラリーマン」と命名。アクティブサラリーマンとその家族にウケが良いと思われるイベントやサービスを企画するたびにPDCAを回し、集客にいそしんだ。